「旅館を次の世代へ」 北原茂樹・日本旅館協会会長に聞く

  • 2020年5月26日

北原会長

道は開ける、コロナ後の戦略構築を

 ――旅館・ホテルの経営状況は。

 北原 感染拡大に伴う旅行の自粛などで、旅館・ホテルの経営はかつてない苦境に立たされている。休業を強いられた施設も多く、雇用調整助成金、無利子・返済据え置きの融資、持続化給付金などの支援策を活用して、企業、雇用を懸命に守っている状態だ。

 ――倒産、廃業に追い込まれた施設もある。

 北原 既存の借り入れが大きい施設、開業から間がないインバウンドに特化した施設などは特に厳しいだろう。政府からの要請を受けて金融機関は資金繰り融資、返済のリスケなどに応じてくれることになっているが、当面をいかにしのぐか。個々の旅館・ホテルの経営存続には、後継者の問題なども絡むが、あきらめずに辛抱してほしい。

 ――旅行環境の見通しをどう見ているか。

 北原 国民の間にも自粛のストレスがたまっており、国のGo To Travelキャンペーン(旅行費用を補助する需要喚起の大規模キャンペーン)などが始まれば、国内旅行への機運は高まるだろう。しかし、それには、感染への不安が払拭(ふっしょく)され、都市部などを含めて都道府県をまたぐ旅行ができるようになることが必要だ。インバウンドに関しては本格的な回復に1年、2年かかるのではないか。

 ――旅館・ホテルが今考えるべきことは。

 北原 コロナ後の旅館・ホテル経営にはさまざまな課題がある。ウイルスの感染防止はこれからもハード、ソフトの整備を含めて対策が求められる。個々の経営戦略も以前の通りとはいかないかもしれない。当面、インバウンドの需要は見込めず、リスク回避の観点から顧客の多角化、あるいは特化を考える施設も出てくるだろう。

 旅行需要が回復すれば、再び人手不足の問題も出てくる。外国人材の活用に向けては宿泊業界を挙げて取り組み、特定技能1号に加え、技能実習2号の移行対象職種にも宿泊業が追加された。当館では4月から働いてもらう予定だった外国人の受け入れが先延ばしになったが、宿泊業界にとって外国人材の活用は、今後も検討すべき課題となるだろう。

 コロナ後にはさまざまな環境変化が予想されるが、旅館・ホテルはこれらに対応し、人材の確保そして生産性の向上に継続的に取り組み、しっかりと利益を上げられる持続可能なビジネスモデルを築いていかなければならない。

 ――協会としては2月に新型コロナウイルス対策本部を立ち上げるなど、宿泊業支援の陳情活動などを展開した。

 北原 役員や委員会委員の皆さんにはご苦労をお掛けした。政府もかつてない事態として、金融や雇用、税、公共料金など、多くの面で要望を実現してくれた。支援の拡大、手続きの迅速化など、今後も要望を続けていく。こうした国の支援策の情報などは会員に随時提供しているので活用を検討してほしい。

 ――3月の理事会では今年度の本部会費免除を打ち出した。北原会長は任期満了を控えるが、次期会長に浜野浩二副会長(北海道支部連合会長)の推薦を現理事会として決めた。

 北原 少しでも負担を減らし、踏みとどまってもらおうと、本部会費の免除を決めた。これができるのも先輩たちが資金を残してくれたおかげ。浜野さんには、この厳しい状況の中で次期会長をお願いするのは心苦しいのだが、安心してバトンタッチできる優秀な方なので、会員の皆さまにご協力をお願いしたい。

 ――会員の旅館・ホテルにメッセージを。

 北原 何としても旅館・ホテルを次の若い世代に引き継いでいきたい。そのためには、業界が一致団結して課題の解決に当たる必要がある。今回のコロナを含め、世の中には思いもよらぬことが起きるが、この世の中で起きたことはこの世の中で解決できると信じている。観光産業は世界的にも重要な位置を占め、わが国でも基幹産業に育とうとしている。必ず道は開けるので、歯をくいしばってがんばろう。そして日本旅館協会が次の時代にも、経営者の研さんの場として活用されるようにしたい。

北原会長

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