わが国全体はもちろんのこと、特に地方においては、過疎化・高齢化が進行しており、さまざまな課題に直面している。特に、より置かれている地理的条件が不利な中山間地域においては、それが顕著だ。一方で中山間地域は全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割、農業産出額の約4割を占める重要な存在でもある。特に近年、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとした世界情勢の変化を受け改めて食料をいかに確保していくか、食料安全保障の重要性が注目を集める中、中山間地域の活性化が不可欠なものとなっている。
そうした中、政府では、デジタル田園都市国家構想において、国が示すモデル地域ビジョンの一つとして「『デジ活』中山間地域」を設定。デジタル技術を活用し、地域の活性化につながる取り組みを後押ししている。
「デジ活」中山間地域は、地域の基幹産業である農林水産業を軸として、地域資源やAI、ICT等のデジタル技術の活用により、課題解決に向けて取り組みを積み重ねることで活性化を図る地域づくりを目指す地域を登録するもの。具体的な例として、農用地保全のための自動草刈り機の導入、ICTを活用した鳥獣わなやアラート、AIを活用した個別教育指導、遠隔医療、集落から公共交通機関への円滑な交通確保のためのデマンドタクシー、ドローン物流などが挙げられる。
農水省を中心に関係府省が連携して、地域で活動する農村型地域運営組織(農村RMO)などに対してサポートを行っている。具体的なサポート内容としては、農山漁村振興交付金などや農水省以外の他府省の優遇措置を受けることができるほか、農水省職員の現地訪問による地域課題・ニーズの聞き取り、事例・施策の紹介、活動のフォローアップを受けられる。また、デジタル分野の専門家による支援や民間事業者とのマッチング、セミナー等を通じた情報提供なども想定されている。
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