「ハイ・サービスで集客」サービス産業生産性協議会が事例


 サービス産業生産性協議会(代表幹事・牛尾治朗ウシオ電機会長)は、サービス産業のイノベーションや生産性向上に役立つ先進的な取り組み事例を「ハイ・サービス日本300選」として表彰しているが、6日までに26の企業・団体を新たに決めた。「今回は特に観光・集客に関するサービス業を重点的に選んだ」(同協議会)としており、集客策などに悩む旅館・ホテル業者にも経営のヒントとなりそうだ。17日、都内のホテルで表彰式を行う。

 「オリジナルのサービスメニュー開発で、リピート率85%を実現する滞在型ホテル」として選ばれたのが長野県の斎藤ホテル。

 湯治場の伝統を受け継ぎ、健康運動指導士など質の高いトレーナーを雇用して作った健康プログラムを開発。さらに、着地型観光メニューとしてホテル添乗員が同行する日帰りバスツアー「斎藤駕籠屋」や、信州各地の自然に触れる「自然塾」などのサービスを提供、滞在型ホテルを実現することで「繁忙の平準化も成功している」と同協議会。

 また、同県の明神館はJAS有機認定の自家農場の有機野菜でのマクロビオティック(長寿法)料理や生ごみの堆肥化、自家発電、川の水での熱交換などのエコロジー活動を行っていることや、世界各国のホテル・旅館、レストランで組織する協会、ルレ・エ・シャトー(本部・フランス)への加盟承認などが評価された。

 「上質なサービスで国内外から指示を受ける小さな温泉旅館」が石川県のかよう亭。敷地1万坪に回廊を巡らせ、客室10室、収容人員25人の数寄屋造りの純和風旅館だ。顧客の2割強を外国人客が占め、イタリアの古い歴史を持つホテルと連携して常連客を紹介し合っているという。「日本旅館として初めてカンヌでの富裕層旅行博インターナショナル・ラグジュアリー・トラベルマーケットに参加するなど国際展開にも意欲的に取り組んでいる」(同協議会)。

 兵庫県の御所坊は「魅力的な観光メニューの創出で、町全体を活性化」したのが選定の理由。御所坊が中心となり、温泉における「食」の魅力作りや震災復興イベントとして企画した温泉入浴と昼食をセットにしたランチクーポンの発行、廃業した旅館を利用した有馬玩具博物館を開館させるなど、泊食分離の観光メニューや新しい観光スポットを創出した。「温泉全体の日帰りを含めた観光客が増加し、地域の活性化や雇用創出に大きく貢献している」と同協議会。

 受賞企業・団体の中には山口県のてしま旅館のように廃業の危機からはい上がり、口コミとホームページによる情報発信で宿泊客を呼び込み「旅館自体が名所」になった施設もあるなど、知恵と工夫で難局を乗り切る姿がかいま見える。

 その他の主な受賞企業・団体は次の通り。

 仙仁温泉岩の湯(長野)▽亀の井ホテル(大分)▽黒川温泉旅館協同組合(熊本)▽境港市観光協会(鳥取)▽スパリゾートハワイアンズ(福島)▽NPO法人ハットウ・オンパク(大分)▽南信州観光公社(長野)

 
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