前回に引き続き、すぐに取り組める人材採用・定着化のための対策テクニックを紹介しよう。人材不足のために、せっかくの増収のチャンスを逃してしまったり、口コミ点数が下がってしまったり、再生プランが達成できなくなったりという問題が日本各地で起きている。検討に時間を費やすのではなく、今できることにすぐに取り組もう。
■求人広告は未経験者でも分かる平易な内容にする
旅館・ホテルの仕事に対して、未経験者は難しいというイメージを持ちがちである。特にフロント係や料飲サービス係は仕事内容をイメージしにくい。
「フロントスタッフ募集! 未経験者大歓迎」と求人広告を出しても、肝心の仕事内容がイメージできなければ応募につながらない。求人広告の仕事内容欄は、素人でも分かる平易な表現を使い、内容を充実させることをおすすめする。
■求職者に選んでもらうための工夫をする
採用活動というと、企業が求職者を選抜するというイメージがあるが、実際はそうではない。皆さまの旅館・ホテルが就職先としてふさわしいか、数ある求人の中から求職者が選ぶのである。そういう意味で、客室のネット販売と同じような現象が求人市場でも起こっていると言える。ライバルは異業種にも及ぶ。旅館・ホテル業の常識の押し付けは通用しない。数ある就職先の中から、いかに自社を選んでもらうか工夫が必要だ。
例えば、求職者が履歴書提出や面接のために館へ訪問した際に、いきなり事務所へ通していないだろうか。また、中抜け休憩時間帯に時間指定していないだろうか。求職者に自館の良さをアピールするならば、あえてにぎやかで忙しいチェックイン前後や夕食時間帯に来てもらって、パブリックや客室、レストラン会場を案内することをおすすめする。
職場を見ることは、優秀な人材に入社意欲を高めてもらうことにつながり、入社後のイメージギャップによる退職を抑制することにもつながる。業界未経験でもぜひ採用したい人材であれば、料理やサービスを実際に体験してもらうのも良いだろう。
食事をとりながら面談をすれば、会議室では把握できない人となりや本当の性格を知ることができるというメリットもある。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)