【竹内美樹の口福のおすそわけ163】豆でいてネ!海外編 竹内美樹


 今年もマメでいられるようにとの願いを込め、2週にわたって豆について書かせていただいたが、最後に海外の豆料理について。ツタンカーメン王の墓からエンドウ豆の種が出土したと言われているが、痩せた土地でも育ち、栄養分が豊富な豆類は、世界中で古くから人々の糧となってきた。その調理法もバラエティーに富んでいる。

 昨年訪れたドバイで食したのは、中東地域の伝統食フムス。茹でたヒヨコ豆を胡麻やニンニクと共にペースト状にしたもので、パンにつけていただく。タンパク質だけでなく、ビタミン、ミネラルや食物繊維も豊富なヒヨコ豆と、アンチエイジング効果のあるポリフェノールや不飽和脂肪酸を含む胡麻との相乗効果が期待でき、リッチな味わいながら低カロリーなこのフムス、海外セレブが好んで食しているようで、女性に人気の映画「セックス・アンド・ザ・シティ2」にも登場した。

 丸い豆に尖ったくちばしのような突起がある形状がヒヨコを想起させるので、その名がついたヒヨコ豆、ホクホクとした食感から「栗豆」とも呼ばれている。日本では生産されていないためなじみは薄いが、世界を見渡すと、インド・イタリア・スペインなどの料理でよく見かける。北インドのお袋の味チャナ・マサラは、ヒヨコ豆のカレー。スペインではガルバンゾという名称で親しまれ、イタリアではヒヨコ豆のパスタ、パスタ・エ・チェーチの他、粉にして焼いたファリナータや、揚げスナック、フェッテ・パニッサなどが庶民の味としてこよなく愛されている。

 日本で最も一般的な海外の豆料理と言えば、チリコンカンだろう。使用する豆は形が腎臓に似ていることから「kidney bean」と呼ばれる。同じインゲン豆なのだが、日本の大正金時などの赤いんげん豆とは若干性質が違う。国産の物は軟らかく風味が強いが、欧米産は形が少し細長くて煮崩れしにくく、それほど主張の強い味ではない。だから煮込み料理にはピッタリというワケだ。

 豆好きの筆者、インゲン豆の主産地である北海道へ行くと、色も柄も違う種類をついあれこれ買ってしまう。乾燥豆の調理は面倒だと思われるかもしれないが、インゲン豆なら一晩水に漬けてさえあれば40分くらいで煮えるので、意外と簡単。たくさん作っておけば、サラダにしたりお肉と煮込んだりといろいろ使える。

 時短料理に向くのはレンズ豆。小さくて薄いからスグに火が通るし、水に漬けておく必要もない。スープやカレーの具や肉料理の付け合わせなど、用途もさまざま。鉄分が豊富なので、貧血女子の手っ取り早い鉄分補給におススメだ。

 おいしくて身体にうれしい豆料理、和風の煮豆も良いけど、他にも多様な楽しみ方があるのだ。しかも乾燥豆は常備できるから、とっても便利。さぁ、これからお豆を水に浸しておこう。明日はソーセージと白インゲン豆を煮込んだ、カスレでも作ってみようか。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

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