YOLO JAPAN CEO 加地太祐氏に聞く

  • 2022年6月16日

加地氏

外国人向け求人の課題

手残り金の多寡が重要 キャリアプラン明確に

 ――外国人向け求人情報サイトを始めたきっかけは。

 「2004年に英会話教室を始めて、順調に事業を拡大した。その後7年ほど前に事故で大けがを負ったのがきっかけで、『社会の役に立つ仕事がしたい』と考えるようになった。社会問題となるだろう人手不足に着目し、外国人との接点を生かした事業ということで、外国人向け求人情報サイトを立ち上げた。目指すところは『就労インバウンドのパイオニア』だ」

 「現在は求人情報だけでなく、外国人の生活を良くするためのさまざまな福利厚生サービスなども提供している。外国人向け格安SIMカードや後払い機能付きプリペイドカードの発行、給料前払いサービスなどが一例だ。19年にはホテルやレストラン、イベント会場の機能を持つ施設『YOLO BASE』を開設、外国人の就労トレーニングを始めた。だがコロナ禍で外国人向け求人もなくなり、当社も在留外国人も厳しい状況になった。お化け屋敷の運営による娯楽と就労機会の提供や、自治体と協定を結んでの情報発信などさまざまな企画や事業を行ってきた」

 「当社が運営する外国人向け福利厚生情報サイト『YOLO JAPAN』には226の国、地域の約22万人が登録している。登録、利用は基本無料で、保有ビザのみで利用可能。登録者のうち45%が、永住者、定住者、配偶者と、就労関係の在留資格『技術・人文知識・国際業務』を持つ」

 ――外国人向け求人の最近の動向はどうか。

 「昨年10月以降、緊急事態宣言が明けてから人手不足が日々深刻さを増しており、当社に対する依頼も急増している。宿泊業界はまん延防止等重点措置の影響もあり戻りが悪かったが、ゴールデンウイーク明けからさまざまな規制が緩和され、今後急増していくとみている。すでに宿泊業の求人は、都市部のシティホテルでのベッドメイクの仕事などが伸びている。出張系の需要の急激な回復によるもので非常に勢いがある」

 ――地方に関しては。

 「在留外国人は都市部に多いので、当社は現在都市部での求人マッチングに注力している。地方は在留外国人が少ない上、外国人向けの求人を出そうという人も少ない。さらに一番の弱点は最低賃金制度だ。地域ごとに物価は違うので単純比較はできないが、それでも東京にいた外国人が地方の時給800円の仕事を見ても、転居してまで行こうとは思わないので厳しい」

 ――地方の旅館・ホテルであれば、賄いや寮のある求人も多い。

 「外国人にとって非常に重要なのは『手元にいくら残るのか』だ。その最低限の生活費を払った後に残る手残り金の額は求人情報にはないので、物価の感覚が分からない外国人には、地方の旅館・ホテルで働いた場合に手元に残るお金の見当がつかない。生活費が抑えられれば東京で働くよりもお金が残る可能性はあるわけで、魅力的な求人となり得る」

 「地方で外国人材を集めるには、自治体挙げて取り組む必要がある。自治体と当社のような企業が連携して『手残り何円』と明示した求人を出せれば、外国人も集まるだろう。その地域の企業にまとまった形で外国人を送り出せるようになると合理的だ。また外国人の多くは車の免許を持っていないので、車社会である地方で暮らすには交通面でのフォローも必須だ。これも地元が一体となって取り組むべき課題だろう」

 ――他に課題は。

 「外国人の約半数は1年以内に辞めると言われており、離職も計算した上での長期的な雇用計画を組むことが大事だ」

 「言語堪能なリーダー格の外国人を採用して、どんな外国人でも採用できる職場環境づくりをすることも大切だ。ただ忘れてはいけないのは、日本語が堪能な人材というのは、その他に英語やベトナム語などが堪能であるということ。つまり日本語だけの日本人よりも能力的には上なのだ。外国人だから安く使おうと思っている経営者も結構いるが、本来はもっと給料を上げなければダメだ。高度人材の待遇はまだ不十分であり課題だ」

 ――雇用主からすれば、できるだけ長く働いてもらいたいという気持ちがある。

 「そのためには役職に就けるなど、彼らのキャリアを上げることを意識する必要がある。外国人にも『キャリアの未来』はある。間違いないのは、外国人も幸せになりたいのだということ。より良い職場環境、より条件の良いキャリアを求めるのは日本人と同じだ」

 ――地方の旅館・ホテルに伝えたいことは。

 「優秀な外国人は全国にたくさんいて彼らを集める方法もあるが、その多くは地方の旅館・ホテルで働く魅力を知らない。ぜひ当社のような求人サイトを通して、豊かな自然環境や職場の持つ歴史などの魅力についても丁寧に情報を発信していってほしい」

 かじ・たいすけ 会社員などを経て04年に英会話教室を創業。16年から外国人向け求人情報サイトの運営を開始し、現在に至る。大阪府出身、46歳。

【聞き手・小林茉莉】

 
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