
パネル討論で意見を述べる南三陸ホテル観洋女将の阿部さん(右から4人目)=17日、仙台会場
各国の観光分野のトップが集まる世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の第12回「グローバルサミット」が16日から4日間、宮城県仙台市と東京都を会場に開かれた。日本での開催は初めて。東日本大震災を教訓に、国や地域を越えた連携の重要性を確認するとともに、東北観光の復興を世界にアピールした。
グローバルサミットは当初、東京のみで開催される予定だったが、昨年3月11日の東日本大震災を受けて、仙台を開催地に加え、また内容を一部変更して開催されることになった。震災以降、大規模な国際会議が開かれるのは東北で初めてであり、奥山恵美子仙台市長は「(開催は)市にとって大きな励みになる」と述べ、歓迎した。
WTTCグローバルサミット日本組織委員会(委員長、西田厚聰・日本観光振興協会会長)によると、サミットには53の国・地域が参加し、仙台会場(ウェスティンホテル仙台、16〜17日)は673人、東京会場(グランドプリンスホテル新高輪、17〜19日)は1234人が出席した。
仙台では「日本の復興とアジアの展望」をテーマに、基調講演やパネルディスカッションなどが行われた。
観光庁の井手憲文長官は「東北の放射線は世界の主要都市と比べ、決して高くはない」と安全性を強調した上で、「東北観光博」をアピールし、東北への旅行を呼びかけた。東北観光推進機構の高橋宏明会長は「復興ツーリズム」を提唱した。また、南三陸ホテル観洋女将の阿部憲子さんは被災者受け入れの体験を踏まえ、「衣食住を提供する宿泊産業は災害時にこそ役目を発揮する」と強調した。
その後舞台を東京に移し、夕刻に開かれた東京会場での開会式には野田佳彦首相や前田武志国土交通相ら政府首脳が顔を見せた。この中で西田委員長は「サミット開催を契機に、震災前よりも日本のツーリズム産業がダイナミックに発展していくことを願っている」と述べた。会合では世界のGDPの9%を占める観光産業の需要性について認識を共有すると共に、一層の振興のために査証問題でリーダーが協力していくことで一致した。

パネル討論で意見を述べる南三陸ホテル観洋女将の阿部さん(右から4人目)=17日、仙台会場