
河村官房長官(右)に申込書を渡す公明党の山口政調会長
観光振興懇話会(TPA)の大島利徳会長はこのほど、公明党の太田昭宏代表と面談し、訪日中国人旅行者の個人観光ビザ解禁に伴うペナルティー制度などを改善するよう訴えた。これを受け、同党の山口那津男政調会長は麻生太郎首相宛ての申入書を河村建夫官房長官に手渡した。TPAによると、河村長官は「前向きに努力したい」と述べた。
個人観光ビザは国内治安の確保を名目に、旅行者の失踪による日本側旅行会社の営業停止措置などのペナルティ制度や、空港での帰国見届け、帰国報告書の提出などを義務付けているが、TPAはこれらが受け入れのネックとなっており、規制緩和や改善すれば中国からの旅行者は急増すると判断した。
大島会長の訴えに対し、太田代表は「中国からの観光客受け入れ拡大については真剣に取り組みたい」と述べた。
申入書(訪日中国人への個人観光ビザの解禁に伴う課題について)は、(1)観光振興の観点から、旅行会社などへの負担を大幅に緩和する(2)米国が行っている中国本土におけるビザ発給の際の審査の厳格化など、諸外国の事例を参考に具体的な負担緩和策を検討する(3)ビザ発給の審査の厳格化にあたっては、在外公館における人員体制の増強を行う──などを盛り込んでいる。
中国での富裕層は1億人を超えるといわれる中、中国人の出国旅行者数(約4500万人)の1割が日本に来ると、「450万人規模となり、日本経済への波及効果は計り知れない」とTPA。また、観光大国・フランスをはじめ、各国も中国人観光客に注目しており、「日本経済活性化の軸として、また観光立国を推進するためにも制度の緩和、改善が期待される」と話している。

河村官房長官(右)に申込書を渡す公明党の山口政調会長