観光振興懇話会(TPA、大島利徳会長)は10日、訪日中国人旅行客の誘致などを軸に今後の北海道の観光活性化を考えるシンポジウム「北海道観光振興フォーラム」を札幌パークホテルで開いた。国内外から約350人が参加した。
中国からは、胡勝才中国駐札幌総領事、范巨=中国国家観光局(東京)首席代表のほか、遼寧省、瀋陽市、上海市、広東省、天津市、天津市塘沽区、北京市の各省市区からTPAが招へいした、旅遊局(観光局)と旅行会社の幹部20人が参加した。
日本側は、北海道内の行政、観光関連事業者を中心に約330人が出席した。
冒頭に、松田昌士JR東日本相談役、神谷俊広観光庁次長、胡勝才総領事、山本邦彦北海道副知事がそれぞれあいさつ。山本副知事は「今月から発給が始まった中国人向け個人観光査証が北海道のインバウンドにとって大変な追い風になると思っている」と期待を込めた。
基調講演では尾澤克之北海道運輸局長が「観光立国の実現に向けて」と題して、日本と北海道のインバウンドの現状などを紹介。また、石森秀三北海道大学観光学高等教育センター長は「北海道は感幸王国になれるか」をテーマにした講演で、「人口、GDPでフィンランド1国ときっ抗する北海道のポテンシャルはとてつもない。グリーンライフツーリズム、ヘルスツーリズム、スポーツツーリズムのメッカであり、カジノエンターテインメントの可能性を探る必要もある」などと述べた。さらに「安売り観光の大地」から「人生を楽しむ感幸の大地」への脱却を提唱した。
パネルディスカッションでは、作古貞義TPA名誉会長・流通科学大学名誉教授の進行のもと、池田光司札幌観光協会副会長、渡辺孝一岩見沢市長、長沼昭夫スイーツ王国札幌代表、浜田健一郎ANA総研社長、鳥越靖司ジャルツアーズ副社長の5人のパネラーが「北海道観光の道標と活性化」について、壇上で意見を交換。「北海道は本来持っている力を出し切っていない。観光地としてもっと頑張らなければならない」という点で一致した。 懇親会にはサプライズゲストとして、中国人1億人以上が見て、中国の道東ブームに火をつけた映画「非誠勿擾(フェイチェンウーラオ=ひやかしお断り)」のプロデューサー、宇崎逸聡氏が登場。中国人招へい団のメンバーを喜ばせた。
TPAによる地域観光振興フォーラムの開催は、07年2月に湯本富士屋ホテルで開いた「国際観光地『ハコネ』の活性化を考える」、08年3月にハウステンボスで開いた「長崎観光振興フォーラム」に次ぐ3回目。次回は10年に福岡で開く予定だ。
開会あいさつする大島会長