日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の国内観光旅行活性化部会は、観光圏整備法に基づく観光圏への誘客拡大策を検討している。国の認定を受けている30観光圏のうち5観光圏をモデル地域に指定し、すでに現地調査などを行った。モデル地域のブランド化を目指して、旅行会社による滞在型の旅行商品の造成を後押しし、来年度の早い時期に販売を始めてもらう考えだ。
TIJの休暇改革委員会のもとに設置されている国内観光旅行活性化部会(部会長=加藤誠JTB旅行マーケティング戦略部地域交流ビジネス推進部長)で検討している。日本旅行業協会(JATA)などとも連携して取り組む。
モデル地域に指定した観光圏は、富良野・美瑛(北海道富良野市、美瑛町など)、さっぽろ(同札幌市、石狩市など)、新たな青森の旅・十和田湖(青森県青森市、十和田市など)、阿蘇くじゅう(熊本県阿蘇市、小国町、大分県竹田市など)、新東九州(大分県別府市、由布市、宮崎県延岡市など)の5エリア。
個々の観光圏が持つ特性を生かしながら、観光資源や受け入れ態勢の充実を促し、広域エリアのブランド構築を目指す。旅行会社に造成してもらう旅行商品のコンセプトは、(1)連泊、2泊3日以上の滞在につながる(2)ニューツーリズムにつながる(3)旅行に行くきっかけとなる──を重視。各社が販売する商品には統一のキャッチフレーズなどの表示も検討して販売を促進していく。
活性化部会のメンバーは、今年10月に5つのモデル地域を現地調査。観光素材を把握しながら、地域の関係者と意見交換した。商品化への手ごたえをつかむ一方で、広域での推進態勢が不十分な地域もあったという。
加藤部会長は、11月30日に開かれた観光庁の第2回観光圏連絡協議会の中で、観光圏に対し「旅行会社と連携するには、市町村を横断したコーディネート機能、統一窓口としてのランドオペレーター機能が不可欠。これがなければ観光圏の意味がない」と指摘して、地域の態勢強化を求めた。
TIJでは、旅行会社と観光圏が連携した事業の成果に期待。観光庁が設置している国内観光旅行の振興に関する連絡会議でも、旅行会社をはじめ鉄道、航空会社などの関係機関が横断的に地域と連携した新たなデスティネーションキャンペーンなどの必要性が議論されている。TIJでは観光圏への取り組みを契機に関係機関と連携し、国内観光を活性化させたい考えだ。




