日本添乗サービス協会(TCSA)は11日、派遣添乗員の労働時間管理を派遣先の旅行会社が行うべきだとする依頼文を、主要な旅行会社43社に対し送付した。今年1月に最高裁判所の判断により、添乗労働の「事業場外労働のみなし労働時間制」の適用を否認した東京高裁の判決が確定したことを受けたもの。
長年、旅行業界では添乗労働について事業場外労働のみなし労働時間制を適用し、TCSAでもそれを認めてきた。しかし、今回の司法判断から、「コンプライアンスに抵触する重大問題」としてその認識を見直した。
今後は会員である添乗派遣会社に対し、定額日当制の賃金支給から労働時間に応じた賃金支給へ改めるよう指導を徹底する。一方、それを実現するための根底には、派遣先による適正な労働時間管理が不可欠として、今回の申し入れとなった。
書面では、コンプライアンス遵守と添乗員の労働時間の維持向上のためにTCSA案を提示。派遣料金については、「添乗業務にプライドを持ち、さらなるスキルアップに向けた不断の努力を重ねるためには労働条件の維持は不可欠」として、現行の賃金より減額とならないよう配慮を求めた。
書面を送付した旅行会社は、JTB、KNT—CTホールディングス、日本旅行など。
東京労働局・労働基準監督署が作成した今春改定のリーフレット「事業場外労働に関するみなし労働時間制の適正な運用のために」でも、添乗労働の「事業場外労働のみなし労働時間制」の適用を明確に否定している。