KNT-CTホールディングスの18年度決算、増収減益に 個人旅行「メイト」振るわず


決算発表をする丸山社長

19年度は売上高4225億円を目標

 KNT―CTホールディングス(HD)が10日発表した2019年3月期(18年4月1日~19年3月31日)の連結最終損益は、12億7900万円の黒字(前期は14億1200万円の黒字)となり、増収減益となった。上期は豪雨、地震など自然災害の影響を受けたが、下期は年末年始の長期休暇に海外旅行が堅調に推移するなど巻き返した。しかし、個人旅行で国内企画旅行商品「メイト」の宿泊商品などが振るわず、昨年の利益を下回った。

 売上高は、前年同期比1.6%増の4118億2100万円、営業利益は同20.3%減の25億3200万円、経常利益は同15.2%減の28億3400万円、当期純利益は同9.5%減の12億7900万円となった。

 売上高は、昨年11月8日の業績予想を21億7900万円下回ったが、営業利益、経常利益はツアーの催行率の改善や諸経費の削減に努め、予想を上回った。しかし当期純利益は、個人旅行事業に関わるソフトウェアなどについて15億6600万円の減損損失を計上し、予想から6億2100万円下回った。

 国内旅行は、個人旅行ではメイトがゲームやアニメゆかりの地を巡るオリジナルツアー、クラブツーリズムで国宝の貸し切り見学ツアーなど、テーマ旅行商品の企画、販売に注力。団体旅行では、法人、団体への提案営業に注力し、招待旅行やMICE、東京2020オリンピック・パラリンピック関連ツアーなどの受注に努めた。売上高は同3.1%減の2323億1千万円となった。

 海外旅行は、企画旅行商品「ホリデイ」で、若い男性をターゲットにしたハワイツアー、クラブツーリズムで北半球7カ国を巡る世界一周旅行など高付加価値商品の販売を拡充した。売上高は同7.1%増の1623億6900万円となった。

 訪日旅行は、海外OTAとの提携拡大や訪日イベント、国際会議の受注獲得に努め、売上高は同23.8%増の171億4100万円となった。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が同2.6%増の4225億円、営業利益が同18.5%増の30億円、経常利益が同12.9%増の32億円、当期純利益が同45.4%増の18億6千万円を見込む。今後は、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム双方で着地型商品を着地側の拠点で企画するなど商品造成改革や、ウェブ商品の造成期間を大幅に短縮するシステムの導入などウェブ販売の強化、アジアや欧米の旅行会社との連携によるグループ訪日旅行の販売拡大などに取り組む。

 同社は従来、「個人旅行事業」「団体旅行事業」「その他」の3事業を報告セグメントとしていたが、事業構造改革により、地域旅行会社と訪日旅行などの専門会社を基軸とした組織へと再編したため、同期から「旅行業」の単一セグメントに変更している。

 丸山隆司社長は「個人旅行は店舗の中でパンフレットを作り販売してきたが、OTAの台頭などウェブ化へとシフトした。OTAに追随せず、店舗を生かしながらウェブでも企画力のある着地型の商品を展開して違いを見せていく」と方針を述べた。

 同社は、昨年4月に中期経営計画で94億円のウェブへの投資を発表。昨年は23億円を投資し、スマートフォンサイトの充実や社員自らが直接ウェブコンテンツを制作できるシステムを導入するなど、ウェブサイトのデザインや機能などを刷新している。

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