KNT―CTホールディングス(HD)が11日発表した2017年3月期(16年4月1日~17年3月31日)の連結最終損益は、13億2900万円の赤字(前の期は18億4300万円の赤字)だった。最終赤字は2期連続。店頭で使用するソフトウェアなどの投資に対し、個人旅行事業の低迷で回収が困難となり、38億4500万円の特別損失の計上が影響した。
売上高は3960億400万円。営業利益は29億6800万円、経常利益は30億4500万円だった。同社は、16年3月に決算期を12月31日から3月31日に変更したため、前年比は発表していない。
16年度は、海外で続くテロや熊本地震、国内外のOTAの事業拡大、民泊利用の広がりなどの環境変化を、個人旅行事業の低迷の要因として挙げている。
近畿ツーリストの個人旅行事業の売上高は2200億6800万円で、営業利益は6億9400万円。団体旅行事業の売上高は994億1400万円で、営業利益は8億7500万円。北海道、東北、中国四国、九州の各地域旅行会社の業績を含む「その他」の売上高は762億4100万円、営業利益は9億2900万円だった。
18年3月期の連結業績予想は、売上高は4130億円(前期比4・3%増)、営業利益は34億円(同14・5%)、経常利益は36億円(同18・2%)、当期純利益は17億円の黒字を見込む。同社の戸川和良社長は「強気な数字でなく、保守的に見ている。地域密着化を促進して黒字化を目指す」と述べ、中村哲夫取締役は「16年度に計上した大幅な減損損失がなくなり、個人旅行事業の赤字幅は圧縮され平年並みに戻る」と説明した。
構造改革で地域密着 クラツー商品を展開
決算発表後、個別取材に応じた戸川社長は今後の事業展開について説明した。4月27日に発表した構造改革について「地域分社化し、ヒューマンタッチに力を入れ地域密着を進める。店舗はコンサルティング機能としての役割を果たしたい。今回の分社化によるコストは、約3~4億円と予想している」と述べた。
商品造成については「クラブツーリズム(クラツー)で造成した商品を地域会社の個人旅行事業で売る形が進む。メイトは、地域会社で地域密着の商品を造成するが、割合は減少していく」と考えを示した。また、OTA対策としては「ウェブに関しては、18年4月に専門的な会社を立ち上げて対抗する。ウェブ単体では売れないクラツーの企画商品も強みとして伸ばしていく」と意気込んだ。
低迷する個人旅行について「FIT化が進み、旅行会社を介在しない旅行事業が大きくなり、対抗が難しくなってきた。対策として、団体と個人を一体化する。取り逃していた団体旅行と個人旅行のいずれも利用する中間層を一元的に受ける体制を作り、個人旅行の低迷を食い止める」と語った。
このほか、同社の強みについては「クラツーの提案力、企画力、動員力は最強の強み。統合して4年半、クラツーと近畿日本ツーリストの融合が進まず、高みに行けなかった。これから進めていく」と自信をのぞかせた。