KNT-CTホールディングス、債務超過97億円に


米田社長

通期決算はコロナ影響で減収減益

 KNT―CTホールディングス(HD)が12日に発表した2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)の連結最終損益は、284億5600万円の赤字(前期74億4300万円の赤字)、期末純資産は96億5400万円の債務超過となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて旅行のキャンセル、中止などが相次ぎ、大幅な減収減益に。Go Toトラベルキャンペーンの実施で一時は国内旅行で活況を呈するも、感染拡大第3波の影響を受け、同キャンペーンが縮小、停止され、効果は限定的なものとなった。

 売上高は、前年比77.2%減の878億8900万円。営業損益は270億8200万円の赤字(同16億800万円の赤字)、経常損益は167億2700万円の赤字(同14億1500万円の赤字)だった。

 最終損益は、2月9日に発表した通期連結業績予想から改善。第4四半期に学生団体旅行の実施や、受託事業など旅行業以外の受注が増加し、85億4400万円を改善した。債務超過の改善に向けては、親会社の近鉄グループHDなど3者を割当先に優先株を発行し、計400億円を調達する。払い込み期日は6月30日で、債務超過の解消を見込んでいる。

 国内旅行では、感染症対策に徹底的に取り組んだ「クラブツーリズム ニュースタイル」ツアーや、オンラインを使用した近畿日本ツーリストの「リモート修学旅行」などを実施し、安全・安心の旅の販売に注力した。新型コロナウイルスの影響を受け、海外旅行、訪日旅行を原則中止とするほか、4月中旬から5月末までは全旅行営業所を休業した。

 22年3月期は、来年4月までに近畿日本ツーリスト地域会社各社およびKNT―CTウエブトラベルを合併し、本社部門など後方部門の統合など組織の再編のほか、人員調整、コスト削減などを進める。

 22年3月期の業績予想は、東京オリンピック・パラリンピックを見込まないものとし、売上高が同4.8%増の1800億円、営業損益が140億円の赤字、経常損益が141億円の赤字、当期純損益が148億円の赤字としている。

 同日には決算説明会を開催。米田昭正社長は「不透明な状況が続いている。コロナ禍での厳しい経営環境に対処し、持続的な成長のため、第3者割当増資で健全化を図る。また、施策の進行、持続で成長戦略の推進にも取り組む」と決意を述べた。

 今後は、クラブツーリズムで進めている「新・クラブ1000事業」や、個人旅行のダイナミックパッケージ化などシステム投資に第3者割当での調達資金397億円を充当。「企画立案力・提案力」「教育機関・法人等への営業網」「アクティブシニアを中心とした会員組織」「全国に広がるサプライヤーネットワーク」などの強みを生かし、23年3月期に営業利益50億円、当期純利益40億円へと伸ばして黒字化を目指す。26年3月期には営業利益130億円以上、当期純利益110億円以上を目標に掲げている。米田社長は「中期経営計画を必ず達成する」と意気込む。

米田社長

 
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