KNTが次期中経、1兆円企業へ基盤整備


 KNTは11日、09〜11年の3カ年にわたる次期中期経営計画を発表した。創立60周年を迎える2015年から、グループ事業規模1兆円達成への取り組みを始めることを盛り込んだ計画内容。利益性の向上や成長分野への経営資源の投入、異業種他社との積極的な協業、提携、M&Aなどを進め、安定的な利益を生み出せる基盤づくりを行う。業績目標は、計画最終年である2011年の売上高合計がKNTグループ合計で7420億円(08年見込み6885億円)、経常利益が40億円(同38億円の損失)。

 発表した中期経営計画は、08年から15年までの7年間を、今年1月に実施した事業別再編を起点とした新たな事業基盤による成長期間に設定。09〜11年は利益確保のための態勢と成長基盤の構築を図る期間、12〜14年には事業の選択と集中と、グループ内ネットワークの拡充による成長戦略の実行期間と位置付けた。15年からは、新たな企業ビジョンとして掲げた「旅を基礎として世界中に『豊かな時空間』を創造する企業グループ」として、取扱高で1兆円規模の企業グループを目指す考えだ。

 次期中期経営計画では具体的に(1)中核事業(個人、団体旅行)での専門性、独自性、効率性の追求による安定的な利益確保(2)グローバル、MICE、eコマースの各市場への重点的な投資と成長基盤の構築(3)KNT、近鉄の各グループ力を生かした新たなプラットフォーム戦略(4)マーケット集中が進む首都圏への経営資源投下──の4つを基本方針に掲げた。

 このうち中核事業と位置付ける個人旅行では、仕入れ、造成、販売の一体化による効率化を推し進める。また、訪日外国人FIT市場の拡大を見据え、国内市場向けの仕入れと外国人市場向けの仕入れの一本化を行い、外国人向けパッケージ商品の開発や、宿泊予約サイトの多言語化、国内宿泊券の、英語圏、中国語圏、韓国語圏での販売も始める。

 個人旅行のうち国内商品ブランド「メイト」については、ウェブ、店頭、電話などの顧客との接点の融合を進めることで販売チャネルを拡充するほか、同社ウェブサイトへ掲載するメイト商品の充実も図る。

 成長市場に位置付けたグローバル、MICE市場では、近鉄グループの資源を利用した営業展開や海外有力旅行会社との提携などを進め、外国間旅行市場の取り込みも図る。また、同社が強みを持つ大型国際スポーツイベント市場での需要取り込みへの動きも加速する。

 市場の集中が進む首都圏への経営資源投下を進め、首都圏発の商品の拡充や、店頭販売部門では、不採算店の迅速な撤退を進めるとともに、首都圏への出店の加速を行う。

 なお次期中経期間では、120人程度の人員削減を予定。中核事業の人員を絞り込んで効率化を図ったうえで、成長市場への人員注入を行う考えだ。

 12日会見した内田安次副社長は、「1月の事業別再編に基づき、事業ごとの専門性を高め、安定的な利益を生み出せる態勢づくりを進める。何としてもこの計画をやりとげる」と意気込みを示した。

 同社は11日付で経営企画部を廃止し、吉川勝久社長を本部長とした経営戦略本部を新たに置いた。取締役、執行役員を中心に構成した。経営戦略本部を中心に、KNTグループ全体の基本戦略の策定や中期経営計画を社長主導で強力に推し進める構えだ。

スポーツイベント 準備室を設置
 KNTは11日、国際スポーツ大会の観戦チケットや宿泊、輸送に関する業務を手掛ける部署「スポーツイベント準備室」を4日に設置したことを明らかにした。09〜11年の次期中期経営計画で進めるMICE市場への注力の一環。

 同社はこれまでも、「FIFAワールドカップ南アフリカ2010」での観戦チケットやスタジアムでの飲食などをパッケージ化し企業などに販売する「公式ホスピタリティプログラム」の日本独占公式代理店や、10年のバンクーバー冬季五輪の日本オリンピック委員会(JOC)の公式代理店となるなど、スポーツイベントの取り扱いのノウハウを蓄積している。

 海外旅行部の所属として開設し、来年1月に部レベルの「実施運営部」に格上げする。

 
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