近畿日本ツーリスト(KNT)は経済不況や新型インフルエンザ流行などによる経営環境の悪化を受け、11日、昨年11月発表の中期経営計画(09〜11年)の修正を発表した。計画期間を10〜12年に改めたうえで、各年の財務目標を下方修正した。今後、ウェブ販売の強化や地方での団体旅行事業部門の改組のほか、不採算部門の撤廃や希望退職による要員整理などで販売構造と費用構造の刷新を加速させ、目標達成を目指す。
新たに12年度の連結業績目標を設定した。経常利益41億円、営業収益703億円、営業利益37億円を目指す。また目標値の修正に伴い、販売面と費用面の革新に向けた重点施策を打ち出した。
販売面のうち個人旅行事業では、ウェブ販売の強化を図り、12年度の売上高400億円(09年目標120億円)の達成を目指す。具体的には、専用商品開発部署の設置やウェブ専用のメイト・ホリデイ商品の開発を行う。また30年来使用してきた販売系基幹システムに替わるシステムの開発に約75億円を投入。11年から稼動し、他社システムと円滑に提携、結合ができるようにする。
団体旅行事業については、各地域の実情に即した営業を強化。組織や拠点の見直しのほか、注力する市場の絞り込みを地域ごとに行う。特に北海道、九州地区については分社し、それぞれ売上高70億円、80億円規模の子会社とする方針。
グローバル事業では、アジア、中国発旅行のビジネスを強化するため、韓国、タイ、インド、香港、台湾に現地拠点を設置する。 費用面の施策ではパンフレットの部数、種類の見直しを行うほか、全国で10カ所程度、赤字店舗を廃止。また今年度内に200人規模の希望退職者を募るなどして営業外要員を中心に削減し、今年3月段階で4千人の社員を13年3月までに3500人程度に絞る。
昨年11月に発表した中期経営計画には、経済不況の影響を織り込んでいなかったため、「早期の(中計)見直しを求める声もあり検討していた」(加藤真人・経営戦略本部部長)。経済不況に加え新型インフルエンザの流行などの特殊要因も重なったため、これらの影響も踏まえたうえで修正版を発表した。