地域の観光、雇用に貢献
復興庁が設立した「新しい東北」官民連携推進協議会は11月13日、「『新しい東北』復興ビジネスコンテスト2018」の受賞団体を発表した。JTB賞はまるせい果樹園(福島市)の「未利用果物の有効活用を図る農家カフェ『森のガーデン』運営事業」が受賞した。
同コンテストは被災地における地域産業の復興や地域振興に資する事業を活性化させることを目的に実施、18年度で4回目の開催となる。今回は大賞1件をはじめ、計16件が受賞した。
JTB賞に選ばれた事業は、東日本大震災で大きな打撃を受けた観光農園が農家カフェ「森のガーデン」をオープンし、グローバルGAP(農産物が安全であることを示す国際認証規格)を取得した自家製の新鮮果実を使ったパフェなどのスイーツを提供している。
周辺から観光客を呼び込む拠点として機能し、事業拡大に伴って新たな雇用を生み出すなど、地域の観光、雇用に貢献していることなどが評価された。
大賞はKUMIKI PROJECT社(神奈川県二宮町)の「被災地での活動から始まった『DITインストラクター』育成事業」が選ばれた。
セルフリノベーションの知識・技術を有するセミプロインストラクターを養成し、リノベーションを必要としている店舗や空き地の所有者、近隣住民がセミプロインストラクターの指導を受けながら自らリノベーション作業を行う事業。作業に使う材料として、岩手県産の気仙杉を使用した組み立てキットの製造・販売も行っている。
陸前高田市や石巻市の住民とともに、津波で被災した集会所を建て直す取り組みからスタートした事業である点や、地域材を使用したキットの製造・販売を行う点が震災からの復興に関するストーリー性を有するとして高く評価された。
優秀賞を受賞した広田湾遊漁組合(岩手県陸前高田市)の「広田湾海中熟成プロジェクト~体験と特産品による経済活性」は、日本酒を海中で熟成する取り組みと体験観光を組み合わせた事業。熟成した地元の日本酒を宿泊や飲食施設、小売り店舗で販売しており、地域への波及効果の高さが認められた。
また、貴凛庁社(宮城県東松島市)の「希望ある未来を発信する子ども未来創造校『KIBOTCHA(きぼっちゃ)』事業」は、東日本大震災で津波の被害を受けた小学校を活用し、子どもたちに防災を通じて命の大切さを伝えているとして、KDDI総合研究所賞を受賞。
宿泊施設やレストランを併設して地域のフィールドも加えた宿泊体験型の防災学習と観光事業も手掛けている。
JTB賞を受賞した農家カフェ「森のガーデン」