JTB(田川博己社長)と朝日新聞社(秋山耿太郎社長)は4月から、旅行・文化事業分野で複合的な提携関係を結ぶ。両社の強みを生かした相乗効果により、「新たな旅文化を生み出し、地域社会の発展に寄与できるようにしたい」(秋山社長)という狙い。具体的には、JTBが朝日新聞グループの朝日旅行(堀口昭社長)を連結対象会社とし、カルチャー事業を朝日新聞に売却するなどして取り組む。昨年12月26日に合意し、発表した。
JTBは、朝日旅行の発行済株式のうち51%を3月末に譲り受け、朝日新聞社は33.4%の株式を保有する。朝日旅行は、JTBグループの仕入手配力、販売力を活用して事業拡大を進めるともに、新聞読者へのサービス向上も図る。新体制となる4月以降も、商号や「朝日旅行」「朝日サンツアーズ」のブランド名などを踏襲していく。
朝日新聞社は10月1日を目途に、100%出資会社である朝日カルチャーセンター(東京、大阪、福岡、愛知)の4社を合併。JTBは、子会社ジェイコムが運営している「JTBカルチャーサロン」事業を合併後の朝日カルチャーセンターに譲渡し、新会社の発行済株式の33.4%を保有する。
記者発表で田川社長は「JTBブランドは旅行、遊びといったイメージが強く、朝日新聞社グループは文化的イメージを持っている。両社の経営資源の融合効果によって、さまざまなテーマ性のある旅の企画や新たな交流の場の提供が可能になり、新しい旅文化の需要が創出できる」と提携の意図を語った。
両社では、旅と文化を組み合わせた地域文化振興の事例として、くらしが育んだ日本の里を選定する朝日新聞社の「にほんの里100選」と、地域の魅力を掘り起こすJTBの着地型商品「旅百話」を連携させる事業を構想する。「日本古来の風景の中で多くの人が四季折々に出会い、触れ合う機会を数多く提供し、全国各地のにぎわいにつなげたい」という。
朝日新聞の秋山社長(右)と握手をかわすJTBの田川社長