JSTHE総会、観光教育の重要性強調


 大学・大学院等で観光教育に携わる教員107人で構成する日本観光ホスピタリティ教育学会(JSTHE、山上徹会長=同志社女子大学特任教授)は20日、立教大学新座キャンパスで今年度総会を開催し、08年度決算、今年度事業計画・予算計画を全て承認した。

 山上会長=写真=はあいさつで「観光立国を標榜する以上、外部環境にかかわらず観光教育は続けていかなければならない」と同学会の意義を強調。「我々教育する側と教育される学生側との双方がバランスした両輪となり観光教育が進んでいく。日本学生観光連盟(学観連)に対する期待も大きい」と続けた。同学会終了後に同会場で学会員立ち会いのもとで発足式を行う、全国15大学の観光系学部・学科・コースで学ぶ大学生118人で構成する新組織、学観連にエールを贈った。

 総会と学観連発足式の間には、西阪昇・観光庁審議官による講演「観光庁が期待する大学における観光教育」とシンポジウム「日本観光ホスピタリティ教育学会の使命を考える」を行った。西阪審議官の講演は発足式に出席した大学生、75人も聴講した。

 西阪審議官は「観光立国の実現には中長期的視野に立った大学教育が欠かせない」と強調。北海道ニセコ町でアルプスにも勝るパウダースノーの雪質に気づいた若い豪州人達が根を下ろして地域の観光開発とインバウンド誘客の担い手となっていることを一例に挙げ、「日本にもそういう人材が出てくるように育成しなければならない。日本人が外国に出て行ってその地域に日本人観光客を誘客するのもいい」と話し、人材育成の重要性を重ねて強調した。さらに「国際的に活躍する人材となるためには、(学生は)もっと日本について学び、知ることが大事だ」と話した。

 シンポジウムでは、益山代利子・松本大学総合経営学部准教授が「米国の大学の観光系学部は、実務重視のホスピタリティ系学部と学問重視の観光学系学部の2つに大きく分かれており、特にホスピタリティ系学部では産学の連携が非常によくとれている」と米国の現状を紹介。内田二郎・JTB能力開発教材事業部長は「大きな本屋に行っても観光学の棚は長さにしてせいぜい2メートルくらい。経済学の本を全部並べたら数百メートルになるだろう」と観光学の歴史と底の浅さを指摘した。

 同学会の創始者でもある岡本伸之・帝京大学経済学部観光経営学科教授・立教大学名誉教授は「木村尚三郎先生(東京大学名誉教授)が観光立国懇談会報告書の中で提唱した『住んでよし、訪れてよしの国づくり』、これこそが観光教育の基本理念と合致する」と述べ、観光立国と観光教育のベクトルが完全に一致していることを示した。

 
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