
JNTOのMICE専用サイトのサステナビリティに関するページ。英語版もある
MICE開催地の選定において社会や環境のサステナビリティ(持続可能性)の要素が重要な判断材料となりつつある。日本政府観光局(JNTO)は、MICEの誘致・開催の拡大に向けて、日本国内におけるサステナビリティの取り組みの海外発信を強化している。JNTOのMICE専用サイトにサステナビリティに関するページを開設し、日本のアピールポイントや国内15都市の取り組みなどを紹介している。
JNTOは、政府が国際会議の誘致・開催の拡大を政策目標に掲げていることを踏まえ、サステナビリティに関するMICE開催地としての強みや課題を整理する調査を実施した。開催地に求められるニーズや有識者の意見、国内主要都市・施設の取り組み状況、海外競合都市の先行事例などを把握した。
海外有識者に意見を聞いた結果、開催地選定において現状で重視されている取り組みは、気候変動対策や省エネルギー、廃棄物削減などの環境分野。各種物品の調達先などのサプライチェーン管理や責任ある購買、使い捨てプラスチックの使用状況など、CO2排出量の削減、生物多様性の保全など、環境に配慮した取り組みが重視される。
一方で今後、開催地選定で重要度が高まるとみられているのが、食に関する取り組みやジェンダーへの対応。食の分野では、地元食材の利用や多様な食文化への理解、フードロスの削減など。ジェンダーの分野は、DEI(多様性、公平性、包括性を表す言葉)への配慮などの重要性が高まっていると指摘されている。
サステナビリティに関する国際評価指標や第三者認証、都市ランキングなども参考にされる。例えば、MICE推進都市のサステナビリティの向上を促す国際的な評価指標プログラムであるGDS―Indexは、環境、社会、サプライヤー、地域マネジメントの4分野で都市を評価。評価結果は毎年ランキングで公表されており、2023年は世界で105都市が参加、日本からは札幌、高松、熊本が参加した。
■国内の取り組み
JNTOのMICE専用サイトでも発信されている国内都市の主な取り組みとしては、大阪観光局MICE推進部によるコンベンションビューローとして日本初の「ISO20121」(イベント運営における社会的責任、環境マネジメントの国際規格)の取得、東京観光財団による「TOKYO MICEサステナビリティガイドライン」の策定などがある。
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