日本政府観光局(=JNTO、間宮忠敏理事長)は、直営で運営している外国人向けの総合観光案内所(TIC)の運営を外部に委託するため、事業者の募集を始めた。企画競争入札を2日に告示し、9日から参加申請を受け付けている。昨年4月の政府・行政刷新会議による事業仕分けの結果を受けた対応で、民間に委託し、来年1月から新たな場所での運営をスタートさせたい考え。
TICはJNTOの本部事務所がある東京・有楽町の東京交通会館10階に開設されている。無償で英語、韓国語、中国語の観光案内に対応し、パンフレットなどを配布。電話の問い合わせにも応じている。近年は欧米の個人旅行者を中心に年間約3万人が訪れている。
事業仕分けではJNTOによる直営の廃止を求められた。民間に任せられる事業として「JNTOは支援に特化すべき」との指摘をはじめ、利用しやすい場所への移転を求める意見が出た。仕分けの判定結果を受け、観光庁も外部委託の方針を固めていた。
委託後も、「政府観光局」のもとで運営される観光案内所の“ナショナルセンター”として位置づける。当面の委託期間は来年1月から2017年3月までの約5年間。設置場所は東京23区内を基準として利便性の高い立地を審査対象とする。現行の運営と同様に、英語、韓国語、中国語による観光案内のノウハウ、原則年中無休の営業などが必要。要件の詳細は、企画競争に参加する事業者に対する説明会で示す。
委託先にJNTOから交付する運営費の目安なども説明会で示す予定。TICの旅行者に対する観光案内などは無償で直接的には収益につながらないほか、外部委託には経費の抑制という目的もある。「民間の特性を生かし、TICに付帯したサービスなどで収益を上げるような運営が求められる」(JNTO)。
JNTOは、直営を終了した後も、委託先の管理、支援にあたる。観光協会や企業などが運営する全国の外国人向け案内所を「ビジット・ジャパン案内所」に指定して支援する事業も継続。TICを訪れる旅行者を対象とした旅行動向のアンケート調査なども引き続き実施していく予定。
企画競争への参加申請は今月26日まで。翌27日に説明会を開き、関係書類を6月24日までに提出してもらう。TIC設置・運営業務委託先選定委員会で7月中旬に委託先を決定する。