JNT、被災した自然・文化遺産の修理や復旧を支援


集いでプロジェクトの概要を説明

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 東日本大震災でダメージを受けた地域の自然・文化遺産などの修理や復旧を支援しようと、日本ナショナルトラスト(JNT、会長・大塚陸毅JR東日本会長)がプロジェクトを開始した。遺産の所有者や管理者が行う修理や復旧に対して助成するもので、広く寄付を募り、原資にあてる。8月29日には東京都内で「復興支援の集い」を開き、プロジェクトの概要を明らかにした。

 JNTによると、震災は地域のシンボル的存在で貴重な観光資源でもある自然・文化遺産に大きな被害を及ぼした。「その中には、津波で流された茨城県北茨城市の国登録有形文化財『六角堂』や、がれきで埋まった宮城県気仙沼市の鳴砂の浜など、かけがえのない遺産が多く含まれている」と言う。

 遺産によっては国や県などの公共団体による経費的支援が及びにくいものもあり、「保存や復旧の意思を持つ所有者や管理者などへの支援が急務」(JNT)と判断し、「東日本大震災 自然・文化遺産復興支援プロジェクト」(愛称・SEED OF FURUSATO)を立ち上げた。

 助成対象となるのは、(1)有形文化財(建築物)の修理(2)記念物(遺跡、名勝地、天然記念物)の復旧(3)被災により継承が困難となった民俗文化財や無形文化財の修理・復旧──で、国の補助対象となるものは含まない。

 プロジェクト開始を受け、10月から支援対象事業を公募する。選定は新たに設ける特別委員会が行う。

 集いには関係者ら約100人が出席。冒頭あいさつした大塚会長は「(東北地方にある)多くの自然・文化遺産が震災の影響で存続の危機に瀕している。遺産の復旧・復興支援が、地域そのものの復興の一助になるようにしたい」と強調した。

 筑波大や盛岡大の教授らによる被災遺産の状況報告のほか、国立新美術館館長の林田英樹、銅版画家の山本容子、東大副学長の西村幸夫の各氏によるてい談が行われた。

 プロジェクトについては、女優の木村佳乃さんや竹下景子さん、東大名誉教授の養老孟司氏ら多くの著名人が賛同している。

 JNTは観光資源保護財団として1968年12月設立。英国の環境保護団体、ザ・ナショナルトラストがモデルとなっている。会員数は個人約1700人、団体50社。天心遺跡記念公園・天心墓所(北茨城市)、SL列車トラストトレイン号、白川郷合掌造り民家2棟(岐阜県白川村)などを保有している。

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