日本旅行業協会(JATA)は7日、来年4月からの国内線販売店販売手数料を見直す方針の全日本空輸(ANA)に対し、現行制度を堅持するよう要望した。金井耿会長らが東京都港区のANA本社を訪問し、伊東信一郎社長に強く申し入れした。9日には日本航空(JAL)も同様の見直しをJATAに示しており、遺憾を当日対応した国内部門の担当部長に続いて、年内中に金井会長が表明する考えだ。
伊東ANA社長に金井会長は、経済環境の悪化や新型インフルエンザなどで旅行需要が大きく落ち込み、旅行業界が経営改善を図っているなかでの販売手数料見直しは、「JATAとして到底容認できない」と抗議。これまで相互の協力で観光産業全体の発展に寄与してきたことを挙げ、「その信頼関係を根底から損なうものであり、政府が進めている国内旅行の振興にも水を差すものだ」と訴えた。
ANAでは来年4月以降の国内線販売店販売手数料について、個人運賃を現行の5%から2.5%へ、団体割引運賃(GT)と学校研修旅行割引(SE)を7%から2.5%へ、包括旅行割引運賃(IT)を7%からゼロへと改訂する意向。旅行業界に配慮してGT、SE、ITは2年間の猶予期間を設け、2012年からとしている。
JALの見直しの内容もほぼ同様。手数料を削減する半面、予約発券端末利用料を1台当たり2万円から1万円に引き下げる考えも示している。