宿泊施設関連協会(JARC)は9月24日、観光・宿泊産業の識者を招いてのセミナー「JARCゼミナール」の開催100回を記念して、記念懇親会を東京・千代田区のKKRホテルで開いた。会員企業・団体、宿泊施設など180人以上が出席。同協会の理事長で、ホテル・旅館専門の総合エンジニアリング会社のタップ(本社=東京都江東区)の代表取締役会長を務める林悦男氏が、「タップホスピタリティラボ沖縄の挑戦」をテーマに、記念講演を開いた。
冒頭あいさつで久保成人副会長(元観光庁長官)は、9月に石川県で発生した記録的な大雨による被災者に哀悼の意を表すとともに、JARC設立趣旨の一つ、「ラストリゾート(避難場所)の実現」を強調。「被災時、宿泊施設が被災者に部屋を提供しているが、もっとシステマティックにやっていく必要がある。JARCとしてもラストリゾートの進展にいっそう力を入れていきたい」と力を込めた。
記念講演では、林氏がタップホスピタリティラボ沖縄(THL、沖縄県うるま市)の特徴や、今後の展望などを語った。
THLは、観光・宿泊産業の生産性や顧客満足度を向上させることを目的に、タップが昨年6月に設立。実験用のホテル運営を通して、ロボット搬送やモバイルチェックインなど、ホテルDXを中心とした実証実験を行っており、国内大手メーカーなど約70社が参画している。
林氏は、THLの特徴として、(1)タップのPMS(ホテルシステム)を導入する施設を24時間365日メンテナンスするカスタマーサポートセンターの設置(2)ドローンポートの併設(3)エネルギー消費量を62%削減するゼロエネルギービルディングの採用―などを挙げ、現在も積極的に取り組んでいることを伝えた。
また、沖縄の観光振興と観光産業の生産性向上を目的に林氏が設立した「沖縄観光DX推進機構(OTDO)」との連携についても言及。「THLとJARC、OTDOの相乗効果を高め、全国の宿泊施設に提案していきたい。テクノロジーでバックアップしていく新しいオペレーションを日本で確立していくことで、世界に輸出できる日本のホテル業界が生まれるのではないか」と展望を語った。
講演する林氏