帝国データバンクによると、元クルーズ船運航の「HTBクルーズ」(長崎県佐世保市、資本金4億円)は3月23日、長崎地裁佐世保支部から特別清算開始命令を受けた。負債は精査中。
HTBクルーズは、アジアからの集客を企図するハウステンボスが長崎県などの協力を得て、上海―長崎航路のフェリー運航を目的として2011年1月に設立。ハウステンボス内の運河を航行するクルーズ船、漫画ONE PEACE(ワンピース)に登場する架空船「サウザンド・サニー号」などを運航するほか、関係会社が所有する「オーシャンローズ号」を使用して、長崎から上海航路を定期運航(週1便)していた。
東日本大震災後はハウステンボスへの外国人来場者が急減。ハウステンボスの国内旅行者の増加でクルーズ船の稼働率を保っていたが、12年に発生した尖閣諸島を巡る日中関係悪化による予約客のキャンセル急増と、中国旅行会社による日本向けの団体旅行商品の販売自粛により12年10月には上海航路の運休を余儀なくされていた。
早期再開に努めていたが、13年1月に上海航路の無期運休を決断。オーシャンローズ号を海外事業法人に裸傭船していたが、19年8月30日開催の株主総会の決議で解散していた。