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熱気あふれるシンポジウムに
東京芸術大学と東京都の台東、墨田の両区らがつくるGTS観光アートプロジェクト実行委員会(委員長=池田政治・東京芸大美術学部長)は4日、東京都台東区の台東区生涯学習ミレニアムホールで、シンポジウム「アートによる観光、公共とは何か」を開催した。芸大関係者のほか、地元関係者らが参加。フランスなど先進諸国やGTSプロジェクトの取り組みが紹介されたほか、一般参加者からもアート活動と地元のかかわりなどについての意見が出され、熱気あふれるシンポジウムとなった。
GTSアートプロジェクトは、東京スカイツリーの建設を契機に、台東区浅草からスカイツリーのある墨田区押上までの隅田川をはさんだ地域を芸術作品や創作拠点の設置などにより活性化し、新たな芸術の発信地として育成しようという取り組み。東京芸大の大学院生と教授陣がモニュメントやアートベンチ、アートサインを制作するだけでなく、東京スカイツリーをテーマとした子ども絵画展や東本願寺(浅草)でのコンサートなどを行っている。
シンポジウムでは、東武鉄道の高架下倉庫を拠点にアラビア数字型の巨大行燈を制作し、隅田川に浮かべるアートイベント「こよみのよぶね」を監修した日比野克彦氏ら芸大教授陣のほか、飯塚さち子・台東区文化産業観光部文化振興課長、郡司剛英・墨田区産業観光部観光課長、国内外の若手クリエーターの人材育成、交流活動などを行っているトーキョーワンダーサイト館長で、東京都参与でもある今村有策氏がパネリストとして登壇。それぞれGTSプロジェクト内での地元住民との共同制作事例などを発表し、「アートを契機とした人の流入で、地域の新しい可能性が生まれる」「『アートと観光』が注目されているが、アートがエンターテイメント化したという一面もある。恒久的な価値のある作品を作ることも重要では」などの意見を交わした。一般参加者からは「スカイツリーなどにより住環境が観光地化することのメリットが感じられない」などの意見も出た。
シンポジウムに司会として登壇し、GTSの統括責任者でもある保科豊巳・東京芸大美術学部副学部長は、「地元住民視点からの問題提起があったのは非常に有意義だった。GTSに取り組むなかで、同じ区内でも地域による意識や考えの格差を強く感じることも多い。シンポジウムをきっかけに、より地域に根付き、主体的なアート活動が進むような仕掛けづくりを進められれば」と意欲を語った。
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