GoTo再開に備え制度設計 観光庁 蒲生長官


観光庁の蒲生長官(20日の専門紙会見で)

状況に応じてシナリオ検討

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言に伴い、2月7日まで停止措置がとられているGo Toトラベル事業。臨時休業を打ち出す旅館・ホテルが相次ぐなど、観光関連事業者の経営環境は厳しさを増している。観光庁の蒲生篤実長官は20日の定例会見で、事業者への支援策、Go Toトラベル事業の再開などの考え方について記者団の質問に答えた。

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 ――緊急事態宣言の発令、Go Toトラベルの停止を踏まえ、観光関連事業者をどう支援していくか。

 「宿泊事業者をはじめとする観光関連事業者が厳しい状況にあるとの認識の下、必要な支援策を届けていきたい。地方運輸局などを窓口にしっかり対応していく」「事業者の経営や雇用を守るための取り組み、また、こうした時期でもあえて付加価値をつくっていこうという前向きな取り組み、両方を支援したい」

 事業継続や雇用維持では、雇用調整助成金、実質無利子・無担保融資、中小事業者への一時金など、関係省庁の支援策の情報を事業者に周知していく。将来を見据えた付加価値向上などへの支援では、2020年度第3次補正予算案に盛り込んだ宿泊施設の改修や観光地の廃屋撤去を進める補助事業などの活用を促す。

 Go Toトラベル事業の一時停止措置では、1月末までの既存予約のキャンセルに見合った補填(ほてん)を旅行・宿泊事業者に対して実施している。

 「(先行して停止した)5都市に関する35%の補填は、事業者からの申請受け付けを1月18日に始めた。全国における年末年始の50%補填も近日中に受け付けを開始する。給付金を円滑に支払うことで事業者にはキャッシュが入るので、一つの支援となる。支払いの遅れなどがないよう事務局と調整して進めている」

 ――Go Toトラベル事業の再開に向けた検討状況は。

 「再開に当たって事業の中身をどうするか、今、制度設計を進めている。具体的に申し上げられる段階ではないが、制度を再開する時、特に、制度の再開と制度の中身が変わる状況では、事業者が対応するための一定の周知期間が必要だ。ただ、周知期間中に状況の変化が起こり得るリスクもある。リスクがないときに始めればよい、いやそこまでは待てない、などの議論があるので、さまざまなシナリオを検討している」

 ――Go Toトラベル事業については、12月に閣議決定された経済対策で、「中小事業者や被災地など観光需要の回復が遅れている事業者・地域へ配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら延長し、感染状況を踏まえ、柔軟に対応する」との方針が示されている。制度設計のポイントは。

 「経済対策の内容が視点となる。平日への旅行需要の分散化、段階的な補助率・補助上限の引き下げなどを検討している。長く支援を続けてほしいという声は強いが、ソフトランディングできるようにしてほしいとの要望もあり、制度設計の議論を庁内で進めている。いろいろな業界、事業規模、地域それぞれの事情があるので、全体にとっての最適解というのはなかなか難しいが、少しでも業界の皆さま、地域の皆さまにメリットがある制度にしたい」

 ――Go Toトラベルは、中断期間が生じたことで事業期間に変更はあるのか。政府の方針では6月末までが基本となっている。

 「いただいた予算をしっかり使っていくというのが大前提。その上で長く支援するという意味では、できるだけ効率的に予算を使いながら、一定程度の期間を確保したいが、今回中断したことをもって自動的に長くなるというわけではない」

 ――Go Toトラベルは、全国一律の対応でなく、感染の状況が落ち着いた地域から再開したらよいとの意見もある。

 「地域ごとの感染状況にはかなりの差があるので、一つの考え方ではあると思うが、緊急事態宣言が出て、全体のリスクを下げていこうという大きな流れの中、一部の地域だけでGo Toトラベルを実施することには慎重であるべきだとして全国で停止している。技術的には観光庁としてもシミュレーションしたが、実際にできるかどうかは、やはり感染状況の問題に戻る」

 地域の感染状況などに応じた観光需要の回復策については、地方創生臨時交付金を活用できる。20年度第3次補正予算案には1・5兆円を追加計上。新型コロナウイルスへの対応であれば、地方公共団体の判断で使い道を決められる。

 「国全体の制度であるGo Toトラベルのみならず、地方創生臨時交付金を使って地域独自のアイデアで『県民割』などを実施していだたくのもやり方の一つだ。観光関連事業者に裨益(ひえき)する形で使っていただければありがたい」

観光庁の蒲生長官(20日の専門紙会見で)

 
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