GoToトラベル 予算2.7兆円で需要を喚起 観光庁 蒲生篤実長官

  • 2021年1月5日

蒲生長官

全国一時停止も6月末まで延長

 政府の観光需要喚起策、Go Toトラベル事業は、割引やクーポンによる手厚い旅行費補助、制度変更に伴う混乱、感染再拡大の要因論争など、観光施策としては異例の注目を社会から集めた。観光庁の蒲生篤実長官は、2020年7月21日付で現職に就任し、Go Toトラベル事業のスタート時から運用を担ってきた。12月18日の定例会見では報道陣の質問に答え、Go Toトラベル事業の現状や今後について語った。

 ◇  ◇

 政府は12月14日、年末年始におけるGo Toトラベル事業の全国停止を発表した。観光事業者、旅行者にとっては急な方針転換だ。感染状況の指標などに基づいて事業の運用を判断するなど、基準を示すべきとの指摘がある。

 「コロナとの戦いという意味で、毎日戦況が変わっていく状況だ。ある程度予測できるようになれば、一定の制度、枠組み、基準の下で実務をやっていくことは必要な作業だが、そうした前提となる知見がまだ十分ではない状況なので、対処療法的な対応になっているのは、観光庁としても忸怩(じくじ)たるものがある。ワクチンなどで状況がある程度落ち着いてくれば、今までの対応の検証なども含めて今後に役立つ仕組み、枠組みなどもできるのではないか。一歩一歩改善に向けて取り組みたい」

 Go Toトラベル事業の7月22日~11月15日の利用者数は少なくとも5260万人泊、割引などの支援額は少なくとも3080億円と推計されている。年末年始には事業が一時停止となったが、予算の消化、配分は進んでいる。

 「Go Toトラベル事業の予算の全体像としては、割引や地域共通クーポンなどの支援額に約1兆1248億円(事務委託費除く)を措置している。このうち旅行・宿泊商品の割引に充てる予算として想定している約8千億円は、12月14日時点で旅行事業者や宿泊事業者に約7286億円、約9割を配分している状況だ。これは予約ベースを含めた支援見込み額で、感染状況によるキャンセルなどで日々増減する」

 Go Toトラベル事業の予算は増額されている。当面の予算不足を補うため、12月に予備費から約3119億円が支出され、さらに2020年度第3次補正予算案には約1兆311億円が計上された。

 「事業の期間は、閣議決定された追加経済対策で『6月末までとすることを基本の想定』としている。失われた旅行需要を回復させ、事業者、地域をしっかり支援していくため、第3次補正予算案に所要の額を計上した。補正予算は成立までに国会審議が必要なので、予算不足により事業の継続が困難になることを回避するため、予備費で必要な予算を措置することにした。感染状況から事業がいったん停止となっているので、停止後については感染状況を見ながら適切に判断されることになると思う。当初の2020年度第1次補正予算、予備費、第3次補正予算の三つをうまくつなぎながら安心して商品を売れる環境を整備したい」

 Go Toトラベル事業の延長に当たっては、観光需要の回復が遅れている中小事業者や被災地への配慮、平日への旅行需要の分散化などの必要性が追加経済対策に明記されている。事業終了後の需要の反動減の対策として、割引率や対象商品の変更など、制度を段階的に見直す方針も示されている。

 「制度設計について検討しているが、これらの政策目標を達成するためにどの程度の修正を行えば、実際に政策効果として発現するのか、これまでに実施したことがなく、いろいろな方に意見を聞いている。早めに制度設計の全貌を示さないと、事業ができない、混乱するとの声もあるので、できるだけ早く状況をお知らせするようにしたい」

 「Go Toトラベル事業は2回の補正予算と、予備費を合わせた予算額が約2.7兆円という大きな事業でインパクトもある。事業者への支援が第一で、その大前提が感染拡大防止ということだが、将来の観光業界にとってもレガシーになるようなものにできればと考えている。例えば、旅行需要の分散化などについて何か節目になるような中身にできればいい。しかし、観光需要を喚起しないと何も始まらないので、現実論としてどのような制度にするのかという調整をしている。事業の延長に向けて検討を加速させていきたい」

 20年の旅行・観光市場は、新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された。感染状況の変化に伴って観光需要の動向は一進一退だった。

 「観光行政をあずかった身だが、ほとんどコロナとの戦いだった。国内旅行については波があったと思う。緊急事態宣言の頃には人がほとんど動かない中で、観光も交通も未曽有の苦難にあわれた。夏以降、Go Toトラベルが動きだし、少しずつ期待が持てる状況になってきた。10月1日に東京都が追加され、需要が一気に増えた。そのときには、われわれの対応が遅れてしまったという反省はあるが、秋の行楽シーズンはかなり好調で、年末年始も予約がほぼ満杯というところもかなりあった。それが年末年始に全国で事業が一時停止になってしまった。ジェットコースターみたいな年で、いったん少し良くなって期待した分、非常に残念だった」

 Go Toトラベル事業は観光需要を喚起し、旅行者に利用され、観光産業の事業継続、地域経済の循環を下支えしたが、感染再拡大の主要な要因であるかのような批判を含め、さまざまな反応を引き起こした。

 「Go Toトラベル事業に対する評価は振り幅が非常に大きい。始まったときには、東京が抜けたりして『混乱』という目で見られた。それから安定飛行になって10月に東京が加わると秋の行楽シーズンとうまくマッチし、ワイドショーも『こうすればお得に使える』みたいな内容が増えたりしたが、感染が再拡大すると、また評価が変わってしまった。目に見えないものとの戦いで、ヒステリー状態になっている部分もある。冷静に考える必要があるのではないか。事業の再開に当たっては、Go Toトラベル事業の必要性や意義、魅力をしっかりPRしないとならない」

 

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