
要望書を手にする島根県の丸山知事(右から2番目)と赤羽国交相(左から2番目)
島根県、山形県旅組など
新型コロナウイルスの感染状況が比較的落ち着いている全国の地方や観光関係者から、Go Toトラベル事業や県独自のキャンペーンの早期再開、誘客支援を求める声が上がっている。島根県の丸山達也知事は、赤羽一嘉国土交通相や地元選出の国会議員らにGo Toトラベル事業の地域を限定した再開を要望。山形県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤信幸理事長は、同県の吉村美栄子知事に県独自の宿泊キャンペーンについて、総合的なさらなる支援を求めた。
要望書を手にする島根県の丸山知事(右から2番目)と赤羽国交相(左から2番目)
島根県の丸山知事は、県と同県旅館ホテル生活衛生同業組合(皆美佳邦理事長)の要望書を携え、3日に赤羽国交相と、細田博之、竹下亘各氏ら同県選出の国会議員を訪ねた。
県と同県旅組の要望は、Go Toトラベル事業の地域を限定した早期再開。事業は緊急事態宣言の延長を受けて停止期間がさらに延びているが、「本県は全国の中でも極めて低い(新型コロナの)感染状況にあり、医療提供体制も逼迫(ひっぱく)している状況にない」「全国の感染状況には地域ごとにばらつきがあり、画一的な全国一斉の停止は適切とは言い難い」と、まずは県民に限定した県内の宿泊施設に泊まる事業の再開、次の段階として、感染リスクの少ない地域に宿泊者の対象を順次広げるよう求めた。
県の要望書では、Go To事業の停止で「例年書き入れ時となる年末年始からキャンセルが相次ぎ、また新規予約もほとんど入らず、やむなく休業する施設も出るなど非常に厳しい状況となっている」「宿泊施設のみならず、観光関連事業者が一段と厳しい経営環境にさらされ、地域経済への深刻な影響が避けられない状況にある」と指摘。
県旅組の要望書でも、「Go Toトラベル事業の全国一斉停止の状況が長引けば、宿泊施設のみならず、観光関連事業者の経営が一段と厳しくなることが予測され、最悪の場合、倒産に追い込まれる事業者が出てくる可能性もある」と危機的状況を訴えている。
丸山知事の要望を受けて赤羽国交相は「観光は地方において主力産業であり、大事にしなければならない。同様の要望を行う知事もおり、Go Toも含めた観光業の在り方について、知事会で議論していただきたい」と応えた。
要望を終えて報道陣に対応した丸山知事は、「現実問題として、さまざまな課題があるという話もあったが、県内の観光業の厳しい状況はご理解いただけたと思う」と、国交相らと会談した感触を述べるとともに、「県単独の施策で(Go To事業を)補うのは現実的に難しく、まずは制度があるGo Toの再開だ」と、事業の早期再開を期待した。
吉村山形県知事(中央左)に要望書を手渡す同県旅組の佐藤理事長(同右)
山形県旅組の佐藤理事長らは2日、同県の吉村知事に、県が実施する宿泊キャンペーン「県民泊まって元気キャンペーン」の利用促進に向けた協力を求めた。
同キャンペーンは、県内の宿泊施設で使える割引クーポン千円分を500円で発行。クーポンを1人1回10枚まで使え、最大5千円が割引になるもの。
事業は昨年9月15日から県内在住者と東北各県、新潟県の県民を対象に行っていたが、Go Toトラベル事業の全国一斉停止に合わせて昨年12月28日から停止。ただ、1月26日から、山形県民に限定して事業を再開した。事業は3月31日まで予定している。
要望書では、キャンペーンの1月26日からの再開に謝意を示すものの、「予約はまだまだ少ない状況」と指摘。県内への観光旅行促進への広報活動、キャンペーンへの総合的な追加支援を求めた。
山形県旅組は組合員を対象に営業状況を調査。1月18日時点で、通常通り営業している施設は3%、休業は13%、休館日などを設けて営業している施設は84%だった。ただ、休館日を設けて営業している施設も多くが宿泊客が少なく、「実質休業状態」という。