Go To トラベルキャンペーン、7月開始へ準備


政府、1.4兆円で国内旅行促進

 新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が5月25日に全国で解除されたことを受けて、政府による日本人国内旅行の需要喚起事業「Go To Travelキャンペーン」が7月下旬にも開始される方向が示された。赤羽一嘉国土交通相は、準備が整い次第、速やかに開始したい意向を示し、7月の早い時期に開始する可能性にも言及した。予算額が1兆3500億円に上る前例のない観光振興による経済対策。感染防止と観光を両立できる環境の整備が条件になるが、夏休みシーズンに向けて国内旅行需要の本格的な回復が期待される。

「7月早い時期にも」「津々浦々へ事業効果」

 Go To Travelキャンペーンは、感染症終息後の地域経済活性化策として2020年度第1次補正予算で実施される。宿泊、日帰りの旅行商品代金の2分の1相当、最大1人2万円を補助する。補助は旅行商品代金の割引と、旅行先の土産店や飲食店、観光施設などで使える地域クーポン券の配布をセットにする。キャンペーン期間は6カ月間で、利用回数の制限は設けない。

 旅行費用の補助は、例えば、4万円の旅行商品の場合、代金の割引額に1万4千円、地域クーポンに6千円。消費者には割引後の金額2万6千円で販売し、地域クーポン6千円を付ける。観光事業者には後日、補助分を精算するなどの仕組みを想定。パックツアーなどの旅行商品以外にも、宿泊施設への直予約、OTA経由の宿泊予約なども補助対象となる方向だ。

 キャンペーンの具体的な開始日は未定だが、赤羽国交相は5月26日の会見で、地方や産業界から早期の開始を望む声もあることから、感染症の状況に問題がないことなどを条件に、「準備が整い次第、速やかに開始したい。スムーズにいけば7月の早い時期にできるかもしれない」と述べた。

 自然災害の被災地などに対して国が過去に実施した旅行費用補助「ふっこう割」の場合、都道府県に補助金を交付し、それぞれに執行する形態がとられたが、Go To Travelキャンペーンは国が主体となって執行する。事業効果を全国に波及させる仕組みについて、観光庁の田端浩長官は5月20日の会見で、「どこかのエリアに集中、偏ることなく、全国津々浦々に行き渡る仕組みを考え、事業の進捗(しんちょく)管理をしっかりとしていく」と述べた。キャンペーンの開始が、全国一斉か、あるいは地方ごとになるのかなどは未定という。

 政府のGo Toキャンペーン事業には、観光庁が担当するGo To Travelだけでなく、外食需要を喚起する農林水産省の「Go To Eat」、経済産業省によるエンターテインメントなどのチケット代を割り引く「Go To Event」や商店街向けの「Go To 商店街」がある。予算全体はTravel向けの1兆3500億円を含めて総額1兆6794億円で、予算上は経産省に一括計上されている。

 事業の準備には、「今(5月20日)の時点から2カ月前後かかる」(田端長官)。Go Toキャンペーン全体の業務を委託する事業者を公募で選定。Go To Travelキャンペーンでは、旅行業団体や宿泊業団体などの協力を得て事業の枠組みを設計。今後、自治体や産業界、消費者などに事業内容を周知するほか、地域クーポンへの参加を希望する観光事業者の募集なども行う。

 Go To Travelキャンペーンの予算1兆3500億円で喚起する国内旅行需要は、宿泊旅行で延べ7300万人泊、日帰り旅行で延べ4800万人を想定。前年2~5月の4カ月における国内旅行実績の約半分に相当する。

 
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