G7サミット機にV字回復目指す広島県観光 湯﨑英彦広島県知事に聞く


湯﨑知事

 来年のG7サミット(主要国首脳会議、5月19~21日)開催地に決まった広島県。同県観光の魅力がさらに広く伝わることが期待される。湯﨑英彦知事に同県観光の現状と課題、サミット開催への思いを聞いた。

観光消費額 目標8000億円

 ――さまざまな産業がある中で、貴県にとって観光はどのような位置付けにあるか。

 ご承知の通り、観光は裾野の広い産業だ。宿泊、飲食、土産、交通など、地域での雇用、地域経済の活性化に大きく寄与するものだ。県としては観光を成長産業、重要な産業と考え、積極的に投資をしてきたところだ。

 令和2年度に県の総合計画「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」を策定した。ここでも観光が県経済を支える産業になることを目指して諸施策に取り組むとしている。

 年間の観光消費額を令和元年の4410億円から、令和12年に8千億円に増大させる目標を掲げている。

 本県は自動車など、ものづくりが強いが、それ以外でも経済を成長させ、年間の総付加価値額に占める観光の割合をおよそ25%にすることを目指す。

 ――現在、貴県が取り組んでいる観光振興策と、その成果について。

 県にはこれもご承知の通り、原爆ドームと嚴島神社という二つの世界遺産があるが、ほかにも瀬戸内海の穏やかな海と島々、自然と暮らしが一体となった里山の情景、さらには歴史的な景観、豊かな食材と、多彩な魅力がある。

 これらを本県でしか得られない価値として、国内外の多くの人たちに伝え、体験していただき、また行きたいと思っていただけるような取り組みを進めている。

 私が知事に就任してから、観光関係の予算はおよそ倍に増やしている。観光客数が右肩下がりだったが、ターンアラウンドするために「おしい!広島県」という観光キャンペーンを平成24年に開始。その後もカキの食べ歩きや、訪日客を対象にした夜神楽の上演、縮景園の早朝開園など、われわれは「観光プロダクト」と呼んでいるが、さまざまなプログラムを開発してきた。

 地域通訳案内士の育成、トイレの整備など、受け入れ環境の整備にも取り組んだ。

 地域のブランド化に向けたプロモーションにも力を入れている。愛媛県と連携してしまなみ海道で国際サイクリング大会を開催したり、瀬戸内7県と民間が一体となったDMO「せとうち観光推進機構」を組織して広域のマーケティングやプロモーション、観光プロダクト開発に取り組んでいる。

 CNNがしまなみ海道を世界の七大サイクリングロードに選んだり、総観光客数、観光消費額が6年連続で過去最高を更新するなど、成果を上げている。

 年間総観光客数は、「おしい!広島県」キャンペーンを始める前の平成23年に5532万人。これが平成29年に6989万人になった。観光消費額は23年の3045億円から令和元年に4410億円と約1400億円増やしている。

 インバウンドは平成23年の48万7千人から令和元年に276万人と、8年連続で過去最高を更新した。ニューヨークタイムズの「2019年に行くべきデスティネーション」に「セトウチアイランズ」が日本で唯一、上位の第7位に選出されている。

 観光施策の推進体制としては、県と一般社団法人広島県観光連盟で協力しながら実施していた県域の観光振興施策を、より効果的、効率的に推進するために、令和2年度から広島県観光連盟において一元的に実施する体制とした。その実行部隊の長、事業本部長は、民間人材。マーケティングの専門家だ。

 新しい体制ができてすぐにコロナが感染拡大をし、厳しい状況となったが、観光客のニーズの変容を把握しつつ、事業者支援や観光プロダクト開発に取り組んでいる。

 例えばグリーンシーズンのスキー場でのバギー体験や、県内から島根県まで流れる江の川でのラフティング。デニムの生産量日本一の福山市など備後地区では、職人から生産工程を学ぶデニム作り体験。このような新しいニーズに対応した観光プロダクトの開発事例がかなりできつつある。

 事業者の観光客の受け入れ環境整備では、デジタル技術の活用やワーケーション対応など、宿泊施設の新しいニーズに向けての投資等を支援し、アフターコロナを見据えた整備が図られている。

 ――コロナ禍で観光事業者からどのような声が届いているか。

 観光需要が回復傾向にあるが、インバウンドは水際対策が緩和されたといってもまだ完全回復の見込みは立っていない。今後、コロナの再拡大もあるのではないかという不安もあり、全国旅行支援など、引き続き需要の喚起策を続けてほしいという要望がある。

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