体験価値、生産性の向上を
「温泉観光地におけるSociety5.0の実現に向けて」をテーマにしたカンファレンスが17日、千葉市の幕張メッセで開催されたデジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC2024」のプログラムとして行われた。AI(人工知能)をはじめ、最先端のテクノロジーをいかに活用し、温泉観光地の未来像を描くか。旅行会社、旅館、デジタルツールやプラットフォームの提供企業の代表者が、地域における観光DXの在り方などについて意見交換した。
道後温泉・宝荘ホテル代表取締役の宮﨑氏
愛媛県・道後温泉の宝荘ホテル代表取締役、宮﨑光彦氏(JTB協定旅館ホテル連盟会長)は、人手不足やインバウンド対応、デジタル化の遅れといった課題を踏まえ、地域の将来像を示す「道後温泉2050ビジョン」を今年策定したことを紹介した。目指すべき地域の姿には、「デジタル温泉都市構想」を掲げている。
デジタル温泉都市構想について宮﨑会長は「”日本最古”にして最先端の温泉観光地を目指す。今のインバウンド比率は約12%だが、国内人口の減少を踏まえると、2050年には50%に引き上げる必要がある。世界に開かれた日本の温泉文化を体現する町にするため、旅行客レベル、事業レベル、観光地レベルの3階層の視点でスマート化を進めたい」と述べた。
旅行客レベルでは、旅マエ・旅ナカ・旅アトにおける情報、予約、移動、決済などに先端技術を生かす「旅行客の経験価値の向上(スマート・エクスペリエンス)」を重視。事業レベルでは、DMPなどでオープン化されたデータを生産性向上などに生かす「事業間の協業による価値共創(スマート・ビジネスエコシステム)」に注力。観光地レベルでは、「観光地全体のスマート化」として、持続可能な観光地づくりのマネジメントを推進する。
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温泉地の現状を踏まえ、「進化するテクノロジーによって変わる未来の観光地」について意見交換。インバウンドでは、年間6千万人の政府目標を念頭に、地方部の受け入れ環境整備が課題。すでに多くの外国人観光客が検索、口コミ、SNS、OTAなどを駆使しており、地域のデジタル活用がテーマの一つだ。
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