楽天と全日本空輸(ANA)はこのほど、06年7月に締結した国内ダイナミックパッケージ(DP)「ANA楽パック」について業務提携の範囲を拡大し、1日から楽天トラベルが運営する総合旅行サイト「楽天トラベル」で、楽天トラベルが扱う海外宿泊施設とANAの国際線航空券を組み合わせた海外DPの取り扱いを始めた。今後、国際線航空券と国内宿泊のDP商品の取り扱いも行う考え。DPの取り扱い範囲を広げることで、旅行市場の活性化と利用者の獲得を図りたい考えだ。
海外版のANA楽パックは、ANAが運航する、成田、羽田、中部、関西の各空港発の国際線週846便と、楽天トラベルが取り扱う約5万9千軒の海外の宿泊施設を自由に組み合わせて一括予約できるもの。7カ月前から予約できるうえ、座席指定ができるのが特徴。海外便に乗り継ぐための国内便も一緒に予約できる。着地はロンドン、パリ、ホノルル、上海など11都市。今後随時拡大する予定という。
フライトマイルの付与率については、一般的な旅行商品が50%のところ、海外版ANA楽パックの場合は70%に設定。国内線から乗り継ぎ利用については、国内線区間の付与率を100%とし、地方空港発、羽田経由の海外旅行需要の活性化を図った。
提携について1日会見した片野坂真哉・ANA取締役営業推進本部長は、「グローバルな会社である楽天と足並みをそろえ、消費者ニーズに合った便利なサイトに育てていきたい」と意欲を語った。取り扱い目標について岡武公士楽天トラベル社長は私見として、「5年以内にANAの国際線取扱額3千億円の5%、150億円」と述べた。
併せて訪日需要対策の面でも連携を強化。第1弾として両社の英語、中国語、韓国語サイトの相互リンクを始めた。今後国内のデスティネーションを外国人にPRするためのウェブコンテンツの充実なども図っていく予定。訪日需要向けの連携について岡武社長は、「海外DPを始めたことで、国際線航空券と国内宿泊を組み合わせた訪日客向けDP商品も可能となった」と話し、近い将来、訪日客向けDP商品の販売を手掛ける意向であることを明言した。
両社は06年4月に共同出資会社「楽天ANAトラベルオンライン」を設立し、10月から予約を開始。年内に累計利用者数が100万人を突破する見込み。今年度の取り扱い目標である200億円も達成可能としている。
岡武社長(左)と片野坂取締役