ビジネス、訪日客が堅調
ANAホールディングス(ANA)は4月26日、2019年3月期決算(18年4月1日~19年3月31日)を発表した。売上高が前年比4.4%増の2兆583億円、営業利益が同0.3%増の1650億円、経常利益が同2.5%減の1566億円、当期純利益が同23.0%減の1107億円だった。航空事業を中心に増益し、売上高、営業利益は4期連続で過去最高を更新した。一方、前期にピーチ・アビエーションを連結子会社としたことによる特別利益などがあったため、親会社株主に帰属する純利益は減少した。
国内線は、売上高が同1.0%増の6966億円、旅客数が同0.4%増の4432万5千人、有償座席利用率は69.6%だった。上期に相次ぐ自然災害やロールスロイス社製エンジンの点検整備による欠航の影響があったが、堅調なビジネス需要と訪日旅客の国内移動需要の取り込み、需要に応じた各種割引運賃の設定などに取り組んだ結果、旅客数、収入とも前期を上回った。路線ネットワークでは、中部―宮古線、福岡―石垣線を通年運航とし、日本各地から石垣島、宮古島への直行便を拡大するなど、需要の取り込みを図った。営業・サービス面では、予約、発売を搭乗の355日前から開始するなど運賃体系をリニューアルしたほか、自然災害からの復興支援、訪日旅客向け利用促進を行うなど、国内外からの渡航需要を喚起した。
国際線は、売上高が同9.1%増の6515億円、旅客数が同3.6%増の1009万3千人、有償座席利用率は77.0%だった。日本発ビジネス需要が好調に推移していることに加え、訪日需要を取り込んだことなどにより、旅客数、収入とも前期を上回った。路線ネットワークでは、6月から羽田―バンコク線を1日3便に増便し、10月からアリタリアとのコードシェア便の運航を開始したほか、今年2月から羽田―ウィーン線を新規開設するなど、ネットワークの拡充を図った。営業・サービス面では、プレミアムエコノミーで、マイルを利用した特典航空券やエコノミークラスからのアップグレードの予約を開始するなどした。
LCCは、売上高が同6.9%増の936億円、旅客数が同4.6%増の815万3千人、有償旅客利用率が86.2%だった。路線拡大や訪日需要を取り込むなど、旅客数、収入とも前期を上回った。路線ネットワークでは、ピーチ・アビエーションが4月から沖縄―高雄線、8月から関西―釧路線、バニラ・エアが7月から成田―石垣線、沖縄―石垣線を新規開設するほか、10月から沖縄―台北線を増便するなど、ネットワークを充実した。また、今年3月にピーチ・アビエーションとバニラ・エアは、那覇空港で新設されたターミナルへ移転し、モノレール駅から直接アクセスできるなど、利便性が向上した。
20年3月の通期連結業績は、売上高が2兆1500億円、営業利益が1650億円、経常利益が1600億円、当期純利益が1080億円を見込んでいる。