ANAホールディングス(HD)とフィリピン航空の親会社であるPALホールディングス(HD)はこのほど、ANAHDがPALHDが発行する株式の9.5%を9500万ドル(約105億円相当)で取得し、業務、資本を締結することを発表した。協業を強化し、中長期的な戦略的パートナー関係をさらに強化する。
全日本空輸(ANA)とフィリピン航空は、2014年10月からコードシェアの実施やマイレージの提携、空港業務の相互受委託などで連携。ANAは今回の業務・資本提携により取締役を派遣し、さらにコードシェアや空港業務の相互受委託を拡大するなど、一層強固な関係を構築する。
2月8日にはフィリピンからPALHD、フィリピン航空関係者が来日し、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で調印式を実施した。ANAHDの片野坂真哉社長は「アジアで最も長い歴史があるフィリピン航空を傘下に持ちPALHDを擁するルシオタングループは、食品、ホテル、金融など多岐にわたり産業界をリードする、歴史と実力のあるグループ。パートナーとウィンウィンの関係を構築し、さまざまな分野で共に取り組んでいきたい」と提携について説明。フィリピンからの渡航者数が過去5年で5倍となるなど、アジアの中で急成長しているポテンシャルにも期待を寄せた。
ルシオタングループの社長でPALHD取締役のマイケルG・タン氏は「フィリピン航空が1949年にマニラ―東京線を開通して70周年を迎え、今では週84便を運航している。日本の規律と勤勉さ、労働倫理、想像力などを学びながら、今以上の貴重な体験を提供していく」と述べた。2年前から取り組む変革を推進し、現在の4スターから5スターの航空会社を目指す考えを示した。
ANAの平子裕志社長は「日本―フィリピン間は8割が旅客需要で、毎年10%を超える成長を遂げている。ビザの緩和での新たな需要を獲得したい」と語った。またグランドハンドリング業務、ケータリングビジネスでの提携など、需要創出効果についても期待した。
今後、ANAは未開拓エリアであるアジア・太平洋地域で自社便の新規路線就航や提携などを行いながら展開の拡大を図る。フィリピン航空は、成田―クラーク線、成田―パングラオ線、成田―ワオ線などの採算面を検討しながら新規就航を目指す予定だ。
8日に開催された調印式の様子