8月の訪日外客78万人、10年比では3%減に


 日本政府観光局(JNTO)が9月21日に発表した今年8月の訪日外客数(推計値)は77万6千人となり、前年同月に比べて42.0%増加した。東日本大震災や原発事故の発生前の水準である前々年同月との比較では3.3%の減少。市場全体として震災からの回復は足踏み状態となった。竹島、尖閣諸島をめぐる韓国、中国との関係悪化の影響は8月の客数には大きく表れていない。

 今年8月の外客数は、8月として過去最高だった2010年の80万3千人に次ぐ2番目の実績。震災からの回復状況としては、前々年同月との比較を基準にすると、6月が1.4%増だったものの、7月は3.8%減、8月もほぼ同じ減少率で2カ月連続のマイナスだった。

 主な市場では、韓国が前々年同月比18.2%減の20万2千人だった。放射能汚染への不安、円高の長期化で震災からの回復は鈍い状況にある。8月10日には韓国の李明博大統領が竹島に上陸し、日韓関係の悪化による訪日旅行への影響が懸念されるが、8月の前々年同月比の減少率は、7月の19.6%減と大きな変化はなかった。

 中国は同13.0%増の19万4千人で、8月として過去最高を記録した。家族旅行の需要が回復したほか、北海道.沖縄旅行の人気、大型クルーズ船の寄港が旅行需要の増加につながった。尖閣諸島をめぐる問題の影響は9月11日の国有化に前後して、9月以降の訪日に大きく表れるとみられる。

 台湾も8月として過去最高を記録し、同11.8%増の12万7千人だった。オープンスカイ(航空自由化)協定による航空座席の増加が需要を後押しした。JNTOでは、訪日旅行市場は東北地方を除けば、「震災前の平常な状態に回復している」と指摘している。

 他の主な市場は、香港が同13.6%減の4万5千人、米国が同4.1%減の5万3千人、豪州が同15.2%減の1万1千人、英国が同18.0%減の1万2千人、フランスが同21.1%減の1万1千人など。東南アジアは客数の規模は小さいが、大きな伸びを示している。低調なシンガポールを除くと、インドネシアが同236.0%増の1万3千人、タイが同19.7%増の1万2千人、マレーシアが54.1%増の8千人、ベトナムが19.8%増の4千人となった。

 一方で8月の出国日本人数は、前年同月に比べて10.0%増の196万5千人だった。前年同月に対して14カ月連続で増加している。1〜8月累計では同15.1%増の1252万5千人となった。

 
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