今年7月の訪日外客数は、前年同期比36.1%減の56万1700人だった。日本政府観光局(JNTO)が18日に推定値として発表した。外客数が東日本大震災の発生で大幅に減少する中、前年同月に対する減少率は毎月少しずつ縮小傾向にあったが、7月は6月の減少率と変わらず改善しなかった。観光旅行に対しては原発事故に伴う放射能への警戒感などが残っているとみられる。
震災以降の減少率は、3月12〜31日が73%減、4月が62.5%減、5月が50.4%減、6月が36.0%減で推移。さらに縮小することが期待されたが、原発事故が完全に収束しない中で足踏み状態。一部の市場には円高の影響なども加わって回復が鈍った。
震災以降の訪日外客を旅行目的別にみると、観光への影響は大きく、回復も遅い。統計がそろっている4月は観光客が81.9%減、商用客が50.2%減。5月は観光客が65.8%減、商用客が25.6%減となっている。
7月の外客数をアジアの主要国でみると、韓国は40.7%減の14万100人、中国が47.7%減の8万7100人、台湾は25.8%減の11万3500人、香港は41.2%減の4万500人。タイは14.1%減の1万2200人、シンガポールは31.6%減の7900人だった。
JNTOは、アジア市場のマイナス要因として、韓国では「一部の牛肉から放射性物質が検出された問題が報じられ、食に対する不安が増した」、中国や台湾では「夏休みシーズンを機に航空運賃が上昇し、格安ツアー料金の設定が困難になり、回復がやや鈍化した」、香港では航空便の運休や減便で「特に新千歳、関西、福岡便は座席確保が困難になっている」などを指摘している。
このほか主な市場では、商用客が先行して回復しているとみられる米国が23.4%減の5万2100人。豪州は35.1%減の1万100人。英国は23.0%減の1万2500人だった。
出国日本人数は 5ヵ月ぶり増加
7月の出国日本人数は、前年同月比4.5%増の146万9千人。震災以降、5カ月ぶりに前年同月の実績に対してプラスに転じた。円高の進展などで海外旅行需要が喚起されたとみられる。