帝国データバンクはこのほど、2018年度の業績見通しに関する企業の意識調査を行った。同年度の業績見通しを「増収増益」とする企業割合は29・3%で、前年度比1・7ポイント増と2年連続で増加。過去最高だった2014年度の30・5%に迫る水準に上昇した。業績見通しの下振れ要素は「人手不足の深刻化」が39・3%とトップになっている。
業績予想はこのほか、「減収減益」が16・7%で、同1・0ポイント減。「増収減益」が7・2%で、同0・5ポイント増。「減収増益」が5・1%で、同0・3ポイント減。
46・8%が「増収」(「増収増益」「増収減益」「増収だが利益は前年度並み」の合計)、36・4%が「増益」(「増収増益」「減収増益」「増益だが売り上げは前年度並み」)と、業績改善を見込む企業が多くなっている。
業績見通しを従業員別に見ると、増収増益の割合は千人超が46・6%、301~千人が35・2%、101~300人が33・0%、51~100人が28・4%、21~50人が29・9%、6~20人が28・2%、5人以下が24・8%。規模が大きいほど増収増益を見込む割合が高く、大企業と中小企業の規模間格差が大きくなっている。「2018年度の業績は大企業を中心に回復が進むと予想される」(同社)。
一方、2017年度の実績見込みは、増収増益が32・8%(前年度比4・5ポイント増)、減収減益が19・4%(同3・6ポイント減)と、前年度より改善している。
2018年度の業績見通しを上振れさせる材料を複数回答で聞いたところ、「個人消費の回復」が33・0%と7年連続で最高だった。以下は「公共事業の増加」(21・1%)、「所得の増加」(19・4%)、「東京五輪需要の拡大」(18・5%)、「消費税率10%への引き上げを控えた駆け込み需要」(16・2%)など。
企業からは「設備投資やインバウンド需要の拡大に伴うホテル建設の増加を期待」などの声があがった。
半面、業績見通しを下振れさせる材料は(複数回答)、「人手不足の深刻化」が39・3%と最多。次いで「個人消費の一段の低迷」(30・1%)、「原油・素材価格の動向」(25・4%)、「所得の減少」(20・3%)、「公共事業の減少」(20・3%)など。
企業の4割が人手不足の深刻化による業績悪化を懸念している。
調査では安倍政権による経済政策「アベノミクス」の成果も聞いた。成果を100点満点で評価してもらったところ、平均62・4点と、前年度比0・7ポイント低下した。
企業の規模別では、大企業平均が64・7%で、同0・5ポイント増、中小企業平均が61・9%で、同0・9ポイント減と、ここでも規模間の格差が表れている。