神戸市営バス16系統は阪神御影から阪急六甲を経て、六甲ケーブル下を結ぶバス路線です。工業地帯に近い阪神沿線から国道2号線に入り、JR六甲道や阪急六甲を経由して、六甲山に向かう広い道路をひたすら登っていきます。
途中、神戸大学やニュータウンも経由。終点はその名の通り、六甲山へ向かうケーブルカーが発着する駅の下です。起点と終点の標高差は200メートル以上もあり、ちょっとした山岳路線といえます。
地元客あり、観光客あり、学生ありと、客層は豊か。阪神、JR、阪急沿線をまたにかけ、六甲山アクセスの顔も持つという点で、神戸の多様性を象徴する路線の一つではないか、と勝手に思っています。
この路線が、4月1日のダイヤ改正で減便されます。神戸市バス全体の合理化の一環のようです。
減便となるのは、16系統だけではありません。同じエリアでは、阪神御影・阪急六甲から鶴甲団地へ向かう36系統も減便。JR六甲道・阪急六甲から、布引を経て三宮神社に向かう2系統も減便となります。
いずれも利用者が多い路線で、とくに2系統は市バス最大の1日1万6千人が利用する基幹路線です。六甲・摩耶山の山麓部に広がる鉄道空白地帯を走ることから、地域住民の欠かせない足になっています。
神戸市は坂が多いため、短距離でもバスを利用する人が少なくありません。その点で、市バスの果たす役割は、他都市に比べても大きいといえるでしょう。しかし、市バスの経営状況は芳しくなく、バス事業を管轄する神戸市の自動車事業会計は、累積資金不足により危機的な状況に陥っています。
そのため、神戸市では数年前から段階的に路線再編を進めていましたが、26年度には運行規模を大幅に縮小します。1日平均の運転キロは前年度から23%もの削減です。驚くような削減率で、これだけ減らすのであれば、利用者が多い路線とて例外とするわけにいかないのでしょう。
輸送人員は前年度から1%程度の減少を見込みます。運行規模の縮小に比して輸送人員の減少率が低いことは、利用者減少を原因とする減便ではないことを裏付けています。
黒字の基幹路線が大幅減便の対象になったのは、便数が多いゆえに減らしやすいからでしょうか。とはいえ、利用者が多いだけに、対象路線での混雑の悪化が心配です。
(旅行総合研究所タビリス代表)




