最優秀賞を受賞した「FIHGTERS」のメンバー7人と審査委員長の東洋大学徳江准教授
「日本の清潔さは最強の武器」―ホスピタリティ業界の次世代リーダーが提言
日本能率協会は2月18日、「ネクストリーダーズ2025」の東京代表を決める地区大会を「HCJ2026」開催中の東京ビッグサイト西4ホール「トレンドセミナー&ステージ」で開催し、「CLEANLINESS with HOSPITALITY~磨き抜かれた日本を世界へ~」を発表したチーム名「FIHGTERS」が優秀賞を獲得した。
同チームは札幌、大阪、福岡の各代表も出場する2月20日開催の全国ファイナルステージへと進んだ。準優秀賞には、チーム名「Luminous」の「『好き』が繋げるホスピタリティ産業の未来」と、チーム名「Team Hapiness」の「ハピネスが人を呼び、ハピネスが人を戻す~リピーターが創る新しい観光立国~」が選ばれた。
ホスピタリティ産業の未来を担う若手スタッフ約80人が企業の枠を超えて集結。「ホスピタリティ産業が5~10年後に、日本の基幹産業になるための戦略構築」を共通テーマに、チームごとに導き出した提案を発表した。同日は12チームが出場した。
最優秀賞を獲得した「FIHGTERS」のメンバーは、ザロイヤルパークホテルアイコニック東京汐留の古賀更紗氏、東京ディスニーリゾート・トイ・ストーリーホテルの鈴木海氏、那須の森ヴィレッジの畠山朔一氏、ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパの矢澤綾香氏、ホテルメトロポリタン丸の内の楠美智久氏、リーガロイヤルホテル東京の松本菜那氏、ヴィアイン品川大井町のナマンダーニゲン氏の7人。

最優秀賞を受賞した「FIHGTERS」のメンバー7人と審査委員長の東洋大学徳江准教授
自動車産業を上回る外貨獲得を目標に
最優秀賞を受賞したチーム「FIHGTERS」は、プレゼンテーションの冒頭で「17.6兆円」という数字を提示。これが2025年の自動車産業の輸出額であることを説明し、「日本の基幹産業になるには自動車産業と同じくらいの外貨の獲得が必要だ」と主張した。
チームメンバーの発表者は「ホスピタリティ産業が外貨を獲得するための答えは清潔さだと私たちは考える」と述べ、日本の大手旅行サイトでも清潔さが必ず評価基準に含まれていることを指摘。世界的な口コミ集約システムであるトラストユーが、人々の公衆衛生への関心度が高まった一方で、清潔感に対する評価が下がったというデータを示し、「人々の清潔感に対する期待値が上がっている」と分析した。
さらに、日本政策投資銀行と財団法人日本交通公社の調査結果を引用し、「日本を一番訪れたいと答えた人たちのうち、なんと約90%の人々が清潔さを理由としている」と発表した。

「割れ窓理論」で清潔さと治安の関係性を解説
チームは清潔さと治安の関係性について、「割れ窓理論」を用いて説明。「窓が一つでも割れているまま放置されていると、他の窓も笑えてしまう」現象を示し、「ゴミや落書きを放置されていると大きな犯罪にもつながる可能性がある。だからこそ清潔さを保つことは街の安全にもつながる」と論じた。
海外事例として、シンガポールとルワンダを挙げた。シンガポールについては「50年に及ぶ生活キャンペーンの一環として、法整備の実施や、ゴミの散乱の原因だった屋台を政府主導で集約したことにより、街がきれいになり、国が発展し、観光客や外貨の獲得に大きく影響を与えた」と説明。
ルワンダでは「月に2回、国民の8割が参加する講師活動ウムガンダが行われ、単なる清掃ではなく、国民の規律、つながり、誇りを生み、その結果、清潔、治安でアフリカ一位になり、アフリカの奇跡と呼ばれるようになった」と紹介した。
世界空港清潔ランキング10年連続1位の実績
日本の清潔さについては、「学校教育での清掃や、明治時代から150年以上続く美しい環境づくりによって作られてきた」と歴史的背景を説明。「日本は世界の空港の清潔さランキングで10年間1位を取り続けている。清潔さは日本にとって最強の武器だ」と強調した。マネジメントコントラクト方式で継続収益を確保具体的な外貨獲得方法として、チームは「マネジメントコントラクト方式」の採用を提案。「日本の清掃ノウハウを海外へ提供し、運営を受託することによって、継続的に外貨を獲得していく」戦略を示した。
清掃ノウハウとして2つのオペレーションを提案。「オペレーション新幹線」として、新幹線7分間の帰席に代表される効率的で短時間の清掃に特化したオペレーションを商業施設や観光地向けに提供。「オペレーション旅館」として、場所により清掃頻度を変えるなど、高品質な空間を長期間維持するためのオペレーションを宿泊施設や公共施設向けに提供するとした。

民間・公共・ホテル事業で17兆円売上目標
売上見込みについて、チームは詳細な試算を発表。民間企業では、日本国内を例に、日本ビルメンテナンス協会の一般清掃費約2兆円のうち5%を担うだけで年間1000億円の売上が見込まれるとした。
公共事業では、東京23区の年間清掃費513億円を参考に試算。民間と公共事業の累計で年間1513億円、これらを66の国と地域で提供することによって約10兆円売上を獲得することが見込まれると発表した。
さらにホテルの清掃事業について、マリオットインターナショナルの運営コストのうち、清掃コストは年間4165億円であることを示し、世界的な17のホテルチェーンで運用されることで約7兆円売上を達成することが可能だと試算。
「結果として民間公共ホテル事業の3つから合計17兆円獲得することができる」と結論付け、「最終的には自動車産業を追い抜き、私たちホスピタリティ産業が基幹産業へ成長することができる」と宣言した。

審査員からは高い評価
審査委員長を務めた東洋大学国際観光学部准教授の徳井純一郎氏は、ファイターズチームの発表について「自動車産業という今の機関産業に着目していただきながら、その数字を一つのベンチマークにして実現するためにはどうやってやっていけばいいか考えられた」と評価。
「ホテル業の普通のビジネス感覚では、提携ホテルを広げていくことなどを考えそうなところだか、FIHGTERSは、”清潔さ”に着目して、日本人的には当たり前だと思っていることを、客観的な事実などの裏付けを用いて発表された」と分析。さらに「試算など具体的な展開のための方策も提示したという点も非常に高い評価につながった」と述べた。

次年度開催も決定
日本能率協会は、来年2027年3月16日から19日にかけて東京ビッグサイトで開かれるHCJ2027のステージで「ネクストリーダーズ2026」大会の東京大会と全国ファイナルステージを開催することを発表した。
ネクストリーダーズ2025は、大阪、福岡、札幌、東京の4地区で開催され、約200名が参加。観光、宿泊、外食などのホスピタリティ産業の次世代リーダーが企業の枠を超えて集結し、「ホスピタリティ産業が5年から10年後に日本の基幹産業になるための戦略構築」という共通テーマのもとで議論と研究を重ねてきた。
全国ファイナルステージでは、各地区代表4チームが最終プレゼンテーションを繰り広げ、全国チャンピオンを決定する。
【kankokeizai.com 編集長 江口英一】





