【日旅連総会特集2026】事業共創の26年度重点施策 日本旅行執行役員・吉田一成氏に聞く


日本旅行執行役員事業共創推進本部長・吉田一成氏

日本旅行執行役員事業共創推進本部長・吉田一成氏

旅館の総合的な利益創出も

 ――事業共創推進本部について。

 吉田 旧来の枠組みにとらわれない新たな価値の創造に取り組んでいる。中計の企業ビジョンの通り、地域に軸足を置いている。

 人と地域と企業と社会。われわれが今までお世話になってきた領域だが、これらを新たにつなぎ合わせて新たな価値をつくる。

 テーマの一つは旅行業の進化。JR西日本グループを含めた既存のアセットを活用して旅行の領域で新たな価値を創造する。

 そして旅行業の強みを転用できる、旅行業に隣接する領域。さらには旅行業に縛られない領域での事業展開。

 コロナ禍に旅行業単体で事業を展開するのが難しかった。その経験を踏まえて、当社の収益源を多層化する。

 ――昨年1年間の主な取り組みを。

 吉田 地域の課題解決に深く踏み込んだ1年だったといえる。一つが深刻な人手不足の解決に向けたアプローチ。アジア各国の大学とMOU(基本合意書)を結び、日本の幅広い産業を支える外国人材の雇用へ環境を整備した。

 既にいくつかの旅館・ホテルやJR西日本グループの関連企業で人財の受け入れを支援している。

 中央アジア諸国と、中でもキルギスでは、大学とのMOUに加えて、現地の観光開発に協力している。われわれが日本で培った観光開発のノウハウを同国でも生かせないかと現地の人たちと話をしている。

 ふるさと納税を通じた地域活性化支援も加速化させた。一つは「地域限定クーポン」を返礼品として地域に提供すること。もう一つは自治体が行う返礼品事業を丸ごと請け負うこと。現在、規模にも大小あるが複数の自治体から事業を受託している。

 新領域への挑戦として、宇宙事業を深掘りした。宇宙旅行が実際に実現するのはまだ先になるが、具体的にどうビジネス展開するかを想定し始めている。国内の自治体やJAXA(宇宙航空研究開発機構)に加え、昨年は海外の宇宙関連事業者への接触を始めた。名だたる企業にも接触し、来る時期に向けて準備を進めている。宇宙事業を教育のコンテンツとして取り上げる自治体も増え、われわれはその素材提供でも協力している。

 変わりどころではサウジアラビア、ドミニカ共和国とビジネスにおける提携を結んだ。両国共にeスポーツが盛んな国で、サウジアラビアは「eスポーツ」の国際大会を毎年開催し、数万人の観客を集めているが、ドミニカ共和国の選手が優勝をしている。その選手は日本のサブカルチャーのファンだという。eスポーツというジャンルにおける国際的なシーンに日本の企業としてアプローチしたり、世界の若者から見た日本の魅力をつなぎ合わせることができればと考えている。

 日本への誘客に加えて、日本から両国への送客や、先ほどのキルギスのように、われわれの観光開発のノウハウを両国で活用するなども考えている。

 ――今年の重点施策、目標について。

 吉田 昨年まで行ってきた事業のさらなる深掘りと、新たなビジネスの種まきを行うことだ。

 新中計(中期経営計画)で「地域に根付く」ことをうたっており、地域の事業者の皆さまとのパートナーシップを一層深めたいと考えている。

 具体的な取り組みとしては、一つはMaaS。MaaS事業が1月1日付で事業共創推進本部に組み込まれた。駅との連続性やイベントおよび物流との協業も視野に、引き続き地域の2次交通の最適化に取り組みたい。

 観光業界の喫緊の課題である人手不足の問題は、受け入れ企業がバラバラに取り組まれている外国人財の育成と監理について、われわれがトータルで請け負いたい。

 まずは、移動と人財の基盤整備を地域においてしっかり進めたい。

 地域の皆さまが安定的な収益基盤を確立することが大事だ。当社には「日本旅行総合研究所」というシンクタンクがある。そこでわれわれの持つリソースを活用し、シーズン波動のない、年間を通じて安定した送客モデルを地域の皆さまとともに考え、つくっていきたい。

 地方銀行がよく使っている言葉だが、「地域商社」の機能をわれわれは持ちたい。旅館・ホテルの皆さまに対して、総合的な利益の創出。本業とともに、宿泊外利益創出のお手伝いをしたい。

 さまざまなことが考えられるが、例えば地域の特産品にアート性を加えることで、特に外国人の方々への訴求力が高まるそうだ。商品をプロデュースしたり、その後のPR、ブランディング、EC販売などをわれわれが手掛け、旅館・ホテルの皆さまの宿泊外利益を創出することを考えていきたい。

 ――日旅連会員に向けて。

 吉田 「日本旅行は旅行から離れていくのか」と会員の方から指摘をされる。旅行事業が基盤事業であることは変わらないのだが、われわれは次のステージ(章)に入り、単に商品を仕入れて売るだけの会社ではない、ということもしっかりと伝えられればと思う。

 旅連の皆さまが直面している課題はわれわれの課題でもあると認識している。われわれの持つ経営資源を皆さまのものとしてどんどん使っていただき、それぞれの課題解決をご一緒に図っていきたいと会員の皆さまには申し上げたい。

日本旅行執行役員事業共創推進本部長・吉田一成氏
日本旅行執行役員事業共創推進本部長・吉田一成氏

 
 
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