【日旅連総会特集2026】インバウンド・グローバル事業の26年度重点施策 日本旅行専務執行役員・鈴木誠一氏に聞く


日本旅行専務執行役員インバウンド・グローバル事業本部長・鈴木誠一氏

日本旅行専務執行役員インバウンド・グローバル事業本部長・鈴木誠一氏

国際的目線で「分散させる技術」必要

 ――新たな組織「インバウンド・グローバル事業本部」のミッションについて。

 鈴木 会社全体の構造を見て、新しい成長エンジンを作っていかねばならないと、新たな中計(中期経営計画)の立ち上げに伴いこの1月1日付で開設したものだ。

 さまざまな部署に分かれていたインバウンドに関する機能を一つにまとめたのに加え、国際的なグローバルの目線を取り入れた。

 私が常に社員に語り掛けてきた言葉がある。今は先が読めない不確実な時代。でも、一つだけ決定している未来がある。それは日本の人口減少、少子高齢化だ。これからの日本はシュリンクするマーケット。だからインバウンドが国全体にとってもわれわれにとっても重要になってくる。そして単にインバウンドだけでなく、そこにグローバルな視点をもって取り組むことで、成果をより輝かせることができる。

 さらに言うと、われわれの会社は「社会課題の解決」という方向にかじを切っている。社員には単に旅行会社の領域にとどまるなと言っている。日本の魅力を磨き上げること。そして物事には光と影がつきものだが、インバウンドに関する影の部分。例えばオーバーツーリズムの問題や二酸化炭素の排出など環境問題。これらの問題解決を図る取り組みも付加していく。

 人々のウェルビーイングを実現する企業を目指している。今はSDGsの取り組みが盛んにいわれているが、これは2030年までの目標で、次はSWGsといわれている。デベロップメントのDがウェルビーイングのWに変わるわけだ。この新たな目標をわれわれもしっかりと認識しながら、日本の魅力を世界へ届ける灯台としての社会的使命を果たす、そんな組織を目指している。

 ――グローバルという名称には、日本以外の第三国から第三国への旅行を扱うというイメージがある。

 鈴木 それはおいおい本格的に取り組むことになる。

 現在われわれは日系グローバル企業との取引がかなりある。この2月も海外の日系企業がMICEで日本に来られた。多くの人数で来られ、そこで満足度の高い取り組みができたならば、来年、日本以外のどこかへ行く時も当社に任せようとなるわけで、そんなつながりをもっていわゆる第三国取引を徐々に増やしていきたい。まずはわれわれと取引の多い日系グローバル企業のインバウンドにしっかり対応して、その先に発生するいわゆる第三国取引を行うというイメージだ。

 世界は広く、体力的な問題もあるので、取引先はわれわれとお付き合いのある日系グローバル企業のある国や、まだあまり手を付けられていないブルーオーシャン的な国など、戦略的な選別をして攻めていこうと考えている。

 ――御社のインバウンドの取り扱いについて。

 鈴木 2023年に今の首都圏、東日本、中部の各エリアの代表に就任したのだが、訪日旅行営業部門でも販売の拡大、取扱高を増やそうということに重きを置いていた。しかし、コロナ禍で部署の人員が縮小していて、その中でインバウンドの波が再び押し寄せるようになった。

 その段階で取り扱いだけを追うのをやめた。「顧客満足第一」という創業者の理念にならい、まずはお客さまに十分満足していただける質の高い商品、サービスの提供。そして、社員が疲弊しないような取り組みにシフトした。当社はもともと欧米豪のマーケットに強く、そこをメインに営業を進め、その方面は昨年、かなり顕著な伸びを示した。

 ――今年の見通しはどうか。

 鈴木 昨年11月から中国市場が減少し、この1、2月も影響を受けている。私は限定的と見ているが、当面はわれわれの強みである欧米豪市場や新たな戦略国にしっかりと対応することだ。

 当社のインバウンド向け商品「レッドバルーン」は、この4~12月の販売が前年同期比2桁増で推移している。今後も新たな取り組みを付加し、2030年までに今の3倍の販売額をもくろんでいく。

 MICEについては2030年までに利益ベースで4倍ぐらいは拡大できると見込んでおり、ここにもしっかりと取り組むことだ。

 ――インバウンドの地方分散が叫ばれている。全国の日旅連会員も期待するところだ。

 鈴木 日旅連の役員の方々と話をした時に、夏対策をしてほしいと話があった。今までは夏が最繁忙期で、宿もビーチもいっぱいになるほどだったが、最近は猛暑で人が来なくなり、特に昨年は「予言」の影響も受けた。

 だから今年は「クールケーション」のムーブメントをつくろうと、各仕入れ担当部署に指示をしている。

 例えば、全国各地にさまざまな納涼文化があると旅連の方々に教えられた。それを地元のほかのトラディショナルなものとつないでいけば、インバウンドだけでなく日本のお客さまにも受けるのではないかと考えた。

 インバウンドの宿泊客の割合について、県ごとに地図で色分けすると、東京や大阪、京都は50%以上で赤、ほかはほとんど青だ。インバウンド6千万人時代には、今の首都圏、関西だけでは賄いきれなくなる。今までわれわれは人を集めて稼ぐというビジネスモデルだったが、これからはそれだけでなく「分散させる技術」が必要だ。

日本旅行専務執行役員インバウンド・グローバル事業本部長・鈴木誠一氏
日本旅行専務執行役員インバウンド・グローバル事業本部長・鈴木誠一氏

 
 
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