【日旅連総会特集2026】ツーリズム事業の26年度重点施策 日本旅行常務取締役兼執行役員・三好一弘氏に聞く


日本旅行常務取締役兼執行役員・三好一弘氏

日本旅行常務取締役兼執行役員・三好一弘氏

送客キャンペーンを全社挙げて推進

 ――昨年の国内全般の振り返りを。

 三好 大きな出来事は大阪・関西万博。会期後半に向かうにつれ盛り上がりを見せ、結果的に2005年愛知万博を上回る来場者数。終盤まで勢いは衰えずにお客さまの動きも活発化した。

 一方、夏の猛暑による旅行の出控えがあった。昨年だけでなく、一昨年からそのような傾向だった。夏が旅行のベストシーズンではない、と人々が思い始めているのではないかと気にしている。お盆を含めた夏やゴールデンウイークなど今までのピークシーズンにおいて数字が伸びていない。

 これは、旅行の時期が分散化しているともいえる。旅館・ホテルの皆さまにとっても、ある意味いいことだと思うが、われわれとしてはプロモーションの仕方を変えていかねばならないと認識している。

 ――夏の旅行控えは多くの人が指摘している。

 三好 逆に東北や信州などは暑い季節に数字が良い。いずれも避暑地だ。沖縄も真夏は東京などよりむしろ気温が低く、地元の方は夏の沖縄は避暑地だと言っている(笑い)。

 昨年の傾向をさらに見ると、キャリアの直販化が一層進んでいる。航空はもとより、鉄道もかなり直販にシフトしている。弊社の強みの一つがJRセットプランだが、販売に影響が出ているのは否めない。当社ならではの商品である、JR西日本との旅行商品「tabiwaトラベル」や、JR東海とJR西日本との商品「EX旅パック」に注力する必要がある。

 ――取り扱い数字を見ると。

 三好 企画商品、宿泊券販売ともに、ほぼ前年並みの実績だった。

 万博関係では、パビリオンの入場確約券付きツアーを販売し、日本館やガンダムのパビリオンなど、人気のパビリオンの商品が好調。店頭で入場券の販売も行い、こちらも好調だった。

 ――万博の周辺地域は。

 三好 万博「プラスワン」の効果が若干あったが、お客さまは万博自体に目が行き、周辺の観光地については期待まで届かなかったのが正直なところだ。関西のお客さまも万博に何度も行かれて、関西近郊への送客が弱かった。
 インバウンドは昨年、国全体で過去最高の数字だったが、当社の扱いは堅調であるという認識だ。災害予言の風評被害や、直近の中国政府の渡航自粛の影響もあったが、他の国でカバーできている。方面別では、特に、万博が開催された関西と、沖縄がインバウンドをうまく取り込んだ。

 ――今年の市場展望と御社の方針を。

 三好 万博のような大きなイベントはないが、総じて堅調に動くのではないかと見ている。

 イベント関連は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと東京ディズニーシーの開園25周年がある。テーマパーク系の商品は昨年、あまり動かなかったが、今年はうまく取り組みたい。

 JRのデスティネーションキャンペーンが、今年は1~3月に京都、4~6月に福島、7~9月に熊本、10~12月に山口と、久しぶりに年間を通じて行われる。ここにもしっかりと取り組む。

 インバウンドは中国からの渡航自粛が長引く可能性があるが、それ以外の国は伸びている。全体としては堅調で、落ち込むことはないと見ている。インバウンド拡大の影響で今まで旅行代金が上がっていたが、そこは一定程度歯止めがかかるのではないか。

 一方、日本人が海外のOTAを使うケースが増えている。協業する場面もあるが、何らかの対策を打つ必要があると考えている。

 商品について、今まで宿泊プラス交通が基本だったが、観光素材もセットで販売できるシステムをこのほど稼働させ、「赤い風船セレクト」を販売開始した。まず北海道と沖縄のロングで商品展開したが、今後は日本全国に拡大したい。

 AIの進展も見逃せない。お客さまのニーズを聞き、そのニーズに合わせて予約までする「AIエージェント」が注目されている。企業の出張手配のようなものは早晩ここに置き換わっていくのではないか。一方、AIを活用することで、さまざまな業務について効率化を図れるし、データを活用した新たな提案もできる。また、人でしか提供できない価値の重要性が増すと考えているので、われわれとしてはAIの活用と対策、その両方を考えていきたい。

 ――店舗展開について。

 三好 ネットの進展で店舗も従来型の事業からの進化が求められている。京都のインバウンド専門支店では全国の観光案内や荷物預かりのサービスを行ったり、イベントスペースで自治体のプロモーションを行ったりしている。同様の拠点を拡大したい。

 ネットワークに関しては、エリアに密着した営業をしている当社の代理業・特約店組織「スクラム会」との連携も一層強化したい。

 ――今年、新たな中期経営計画がスタートした。

 三好 中計で「着地コンテンツへの本格的取り組み」を掲げた。注力するために、今年、専任の部署を設置した。着地コンテンツといえば、観光、イベント、食事に加え、宿泊もその一つだと思っている。着地コンテンツは差別化の鍵になるし、単に開拓するだけでなく、自ら運営することも考えている。コンテンツ開発については、ぜひ日旅連の皆さまにご相談をさせていただければと思う。

 ――日旅連会員施設への送客に特化したキャンペーンを行うという。

 三好 期間ごとに方面を決めて、個人、団体を含めてトータルで送客をさせていただく。これまではエリア単位で行っていたものを、日本旅行全社を挙げて実施したい。会員の皆さまにもご協力をお願いしたい。詳細は間もなく発表できる。

 一過性に終わらせず、長く続くものにしたいと考えている。日旅連の皆さまにはご期待をいただきたい。

 ――会員へメッセージを。

 三好 昨年、創業からの歴史を描いた「旅行屋さん 日本初の旅行会社・日本旅行と南新助」という小説を発刊した。その本を読んで、弊社が120年続いたのは、常にお客さまのニーズを捉え変化してきたことと、パートナーの皆さまに支えられてきたからだと改めて認識した。日旅連の皆さまには、引き続きご愛顧をお願いいたします。

日本旅行常務取締役兼執行役員・三好一弘氏
日本旅行常務取締役兼執行役員・三好一弘氏

 
 
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