竹内氏
わが家の冷蔵庫には、常備しているチーズがある。パルミジャーノ・レッジャーノだ。ハードタイプだから日持ちする。パスタでもサラダでも、チーズ削りでコレを振りかけると、劇的においしくなる。料理にコクを出したい時にも、チョット入れるだけで味が決まる。何たってうま味の塊なのだ。イタリア版カツオ節って感じ。このチーズには白い粒々が点々とあるが、カビではない。これは長期熟成によってタンパク質が分解されてできた、アミノ酸の結晶「チロシン」である。
砕いたり切ったりしてそのまま食せば、思わずボーノ♪と叫んじゃう。ワインのアテにピッタリ! 独特なジャリっとした食感もたまらない。コレこそが、うま味爆弾チロシンだ。家ではやりたい放題だから、シーザーサラダに何度も追いパルミしちゃうほど大好き♪ 最後にどうしても硬い皮が残ってしまうが、実は外皮を洗ってスープや煮込み料理に入れれば、グンとうま味が増すのだ。捨てたらモッタイナイ!
いろいろ使える優秀なヤツ、パルミジャーノ・レッジャーノ。北イタリアのパルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、マントヴァ、ボローニャの五つの県の指定産地で製造されているという。この地域で、その土地の牧草や干し草で飼育された乳牛の生乳のみが使用され、原材料は生乳とレンネット(凝乳酵素)と塩だけ。
その製法はおよそ1千年にわたり変わっていない。コクがあるのに後味が軽い独特の風味に仕上げるため、夕方搾った生乳を一晩休ませ脱脂した物と、翌朝の搾りたての全乳を合わせる。そこにレンネットを加え、凝固した物を型に入れ水分を抜き、型を外して飽和食塩水に漬け、乾燥させてから熟成させるそうだ。熟成庫に眠る円柱形の大きな塊は「ホイール」と呼ばれる。その重さ約40キロ、一つ作るのに必要な生乳は約550リットルといわれる。
熟成開始から12カ月目で、全てのホイールが厳格な品質検査を受ける。熟練の検査員が小さなハンマーで叩き、内部に空洞や亀裂などの欠陥がないか、一つずつ丁寧に音で確認。この検査に合格した物だけに焼き印が押され、正式に「パルミジャーノ・レッジャーノD.O.P(原産地呼称保護制度)」の名を冠することが許されるのだ。熟成期間は最低12カ月、長いと48カ月以上にも及ぶという。熟成が進むほどチロシンが増え、味わい深くなる。
ところで、卓上で使う粉チーズ、パルメザンチーズと名前が似てるけど、どう違うの? パルメザンチーズはパルミジャーノ・レッジャーノの英語名に由来する、違う種類のチーズ。産地の縛りや製法の定義がなく、100%ナチュラルチーズの商品もあれば、セルロース等が添加されたモノも。だが、いちいち削る手間もないし、手軽でありがたい。
詳細はおくが、世界には千種類以上のナチュラルチーズがあるそうだ。中でも「チーズの王様」と称されるパルミジャーノ・レッジャーノ。今夜もワインのお供にいただこうっと♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




