藤田観光、過去最高の営業利益を達成 NSSKとの資本業務提携も発表


 藤田観光は2月12日、2025年12月期の決算を発表した。営業利益は前年比14.8億円増の137.9億円と過去最高を記録。インバウンド需要の取り込みと高付加価値商品の提供が功を奏した。また同社は2月10日、日本産業推進機構グループ(NSSK)と資本業務提携契約を締結したことも明らかにした。NSSKグループ傘下のNSSK-GAMMA2合同会社が、DOWAホールディングスが保有する同社株式の一部(議決権所有割合25.00%)を取得し、筆頭株主となった。

全事業で増収増益、WHG事業が牽引

 2025年12月期の連結業績は、売上高が前年比57.9億円増の820.0億円、営業利益は同14.8億円増の137.9億円、経常利益は同10.8億円増の137.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.5億円増の92.9億円だった。営業利益、経常利益は過去最高を記録し、当期純利益も最高水準となった。

 セグメント別では、WHG事業(ワシントンホテル、ホテルグレイスリー、ホテルタビノス)が売上高492.0億円(前年比36.1億円増)、営業利益114.8億円(同12.8億円増)と大きく伸長。ラグジュアリー&バンケット事業も売上高202.0億円(同15.6億円増)、営業利益14.8億円(同2.4億円増)と好調だった。リゾート事業は売上高112.8億円(同5.2億円増)、営業利益9.2億円(同0.04億円増)と増収増益を確保した。

 WHG事業では、客室平均単価(ADR)が前年比11%増加し過去最高を記録。欧米豪や東南アジアからの宿泊客増加が寄与した。ラグジュアリー&バンケット事業は婚礼・宴会部門が好調で、「ホテル椿山荘東京」の婚礼施行件数は前年比5.9%増の1,581件、件当たり単価も4,051千円と増加した。リゾート事業では「箱根小涌園 天悠」「箱根ホテル小涌園」がADRの上昇により収益を伸ばした。

 インバウンド宿泊者数は前年比9.8%増の244.6万人となり、総宿泊者数に占める割合は57.1%(前年比5.0ポイント増)に達した。国別では米国からの宿泊者が大きく増加し、シェアは前年の11.3%から13.6%に拡大。一方、中国と韓国のシェアはそれぞれ24.0%から21.1%、19.2%から15.2%に減少した。

2026年12月期は減益見通し、積極投資を推進

 藤田観光は2026年12月期の連結業績予想について、売上高830.0億円(前年比9.9億円増)、営業利益120.0億円(同17.9億円減)、経常利益116.0億円(同21.0億円減)、当期純利益115.0億円(同22.0億円増)を見込むと発表した。

 減益予想の主な要因は、既存施設の商品力強化に向けた積極的な投資だ。キャナルシティ・福岡ワシントンホテルでは4月から8月にかけて全館休業し、全客室とロビーを改装する計画。「箱根ホテル小涌園」では2027年開業を目指し温泉半露天風呂付客室の増室計画を推進するほか、「ホテル椿山荘東京」では庭園を望む新宴会場「フォレスタ」を新設するなど、将来の成長に向けた投資を加速させる。

 こうした積極投資により、売り止め影響として27.0億円の減益要因が生じる見込み。しかし、同社は「既存事業におけるコスト増加を増収により吸収する」としている。

NSSKとの資本業務提携で成長加速へ

藤田観光が新たに筆頭株主となったNSSKグループは、「潜在力の高い日本企業の事業成長を支援する独立系投資運営会社」と説明されている。同社は「単なる資金提供ではなく、経営人材の育成や組織強化を含めた実践的なハンズオン支援が特徴。ESG推進と企業価値向上を両立させる、長期パートナーシップ志向の投資家」だとしている。

 資本業務提携の狙いについて藤田観光は、「持続的な成長の実現には、開発力・運営力・ブランド力の強化が必要不可欠」とした上で、「M&Aや不動産開発のノウハウの獲得は、当社単独ではなく社外とのアライアンスも含めて取り組むことがより効果的と認識」と説明。「NSSKとのアライアンスを通じた当社の更なる事業成長と企業価値向上の実現を目的として、資本業務提携を締結した」としている。

 具体的な提携内容としては、「M&A体制強化及びホテルオペレーターの取得支援」「資産取得を含めた開発力の強化」「地域の宿泊施設のバルク取得」「人材の供給提携」などが挙げられている。なお、資本業務提携契約について同社は「当社の経営の自主性・独立性が確保されるよう配慮した内容のため、当社のガバナンスへの影響は軽微」としている。

中期経営計画の進捗と人材戦略

 藤田観光は2023年に「中期経営計画2028」を策定し、2028年までに売上高800億円、営業利益80億円、営業利益率10%、ROE10%以上維持などの目標を掲げている。2025年12月期の実績はすでに売上高820億円、営業利益137億円、営業利益率16.8%、ROE25.2%と目標を上回っているが、今後は「将来の成長に資する投資を積極的に推進」するとしている。

 人材戦略では、エンゲージメントスコアを2023年実績の3.42ポイントから2028年に3.75ポイントへ、入社3年目社員離職率を39.7%から30%へ、外国人社員比率を8.1%から10.0%へなどの目標を設定。2025年12月期実績はエンゲージメントスコア3.73ポイント、入社3年目社員離職率42.1%、外国人社員比率11.1%となっている。

 サステナビリティ戦略では、2025年12月22日にグローバルインデックスプロバイダーであるFTSE Russell社が提供する「FTSE JPX Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されたことを報告。また、会員プログラム「THE FUJITA MEMBERS」の累計会員数が80万人を突破したことや、社内公募制度「BizNex」の実施、外部企業との共創を通じた新規事業創出を目的とした「アクセラレータープログラム」や「ビジネスマッチング」の実施なども紹介された。

 財務戦略としては、A種優先株式未取得分20株を全株償還(取得及び消却)したこと、資本コストを意識した経営を進め、ROIC(14.0%)が資本コスト(WACC、約6%)を、ROE(25.2%)が株主資本コスト(約7%)をそれぞれ上回っていることが説明された。

事業別の取り組みと進捗

 WHG事業では、2025年に「商品力強化による収益力向上」を目指し、東京ベイ有明ワシントンホテルやホテルグレイスリー札幌などで客室改装を実施。新宿ワシントンホテルでは同ブランド初の長期滞在向け客室を新設した。また、ホテルグレイスリー札幌のロビーでは「天然ヒバの木の香りなど、北海道の自然を五感で感じられる空間」に改装。ホテルグレイスリー京都三条では、プレミアムルーム・コンセプトルーム宿泊客向けのラウンジを設け、「おばんざいやスイーツ、アルコールなど」を提供するようにした。

 2026年には引き続き複数の事業所で客室改装・美装を計画するほか、「2026年秋、フランチャイズ14店舗目となる『大阪和泉中央駅前ワシントンホテル(仮称)』開業決定」との発表も行われた。さらに「FC・MC・賃貸借・資産取得等、様々な出店形態の可能性も視野に新規出店先の探索を継続」するとしている。

 ラグジュアリー&バンケット事業では、2025年に「ホテル椿山荘東京」の婚礼サロンの一つをカフェラウンジに転用。また、同ホテルの「庭園文化再生・発信モデル」が「2025年グッドデザイン賞」を受賞した。2026年には「庭園が目の前に広がるロケーションを活かした圧倒的な眺望とライブキッチン、ブライズルームを備え」た新宴会場「フォレスタ」を新設する計画だ。

 リゾート事業では、2025年に箱根小涌園で季節に合わせたイベントを開催したほか、伊東小涌園に温泉風呂付客室と個室食事処を新設、箱根小涌園三河屋旅館の改装を実施。2026年は箱根ホテル小涌園で「2027年開業を目指し顧客ニーズの高い温泉半露天風呂付客室の増室計画を推進」するとしている。また、レストランについても拡張工事を進めており、「2026年夏オープン予定」とのことだ。

 
 
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