1月に東京ビッグサイトで開催された「地球環境とエネルギーの調和展(ENEX2026)」で、関心ある地中熱ヒートポンプのブースと、環境省、中小企業基盤整備機構で話を聞いた。
国は重油やガスの化石燃料から電気に切り替えることでCO2排出量を削減することを考えているようで、電気の排出係数は2019年の0.500kgCO2/kwhから2026年の0.416kgCO2/kwhと着実に下がっている。一方で化石燃料は値上がり基調で、近い将来、炭素税がかかることを考えると電気へのエネルギー転換を図る必要がある。
環境省のSHIFT事業は、単純な高効率化改修は補助対象外で、CO2排出量のより少ない設備・システムが対象になっている。照明はLEDが主流になり、空調もヒートポンプへの転換が進んでいる。
宿泊施設で残る問題は化石燃料のボイラで沸かす給湯と厨房でのガス使用である。給湯も空調と同じくヒートポンプを導入したいが、夏は外気が40度にもなり、寒冷地では冬場に効率が下がることから地中熱ヒートポンプ給湯に注目している。
地中温度は一年中、1度程度と安定し、地中にポリエチレンパイプを埋設して熱交換する地中熱ヒートポンプは、空気熱源ヒートポンプに比べ、効率が安定しているが、導入コストが高いのが課題で、補助金を使って何年でペイするかがポイントになっている。厨房はガス中心から電化厨房化を進めたいと思う。
今年の「国際ホテル・レストラン・ショー(HCJ2026)」のホスピタリティデザインセミナーで、宇都宮大学、高橋若菜教授が講演する「ウェルビーイングな脱炭素社会へのトランジション」は示唆に富んでいるのでぜひ参加したい。高橋教授は毎夏スウェーデンに滞在し、研究されているので、脱炭素、地中熱ヒートポンプなど同国のエネルギー事情に詳しい。
スウェーデンは、日本と同じく化石燃料資源が乏しい中で、電力発電は98%が再生可能エネルギーと原子力から供給され、CO2排出係数は0・018kgCO2/kwhと大変低く、電気を使った地中熱ヒートポンプの導入が進んでいる。
今後の日本では、宿泊業も建築ストックを生かすことで持続可能性につなげ、改修時にはエネルギー転換についても考える時期に来ている。グラフのように床面積当たりのエネルギー消費量がホテル・旅館で1800MJ/平方メートル・年とあるが、エコ・小委員会のデータでは2400MJ/平方メートル・年程度とエネルギー消費量が多いので、省エネとエネルギー転換をセットで進めたいと思っている。
(国際観光施設協会理事 エコ・小委員会委員長、日本建築家協会登録建築家、佐々山建築設計 佐々山茂)






