【地域創生と観光ビジネス93】新春を彩るニューイヤーコンサートとTOP250認定授与式 淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授 千葉千枝子


 新年、仕事始めの1月7日、「ワールド航空サービス創業55周年記念ニューイヤーコンサート2026」にうかがった。

 サントリーホール大ホールは、新春らしい装いの観客が数多く、華やぎに満ちている。ワルツ皇帝円舞曲や美しき青きドナウなど、N響団友オーケストラが奏でる名曲の数々に、会場は割れんばかりの拍手で沸いた。さらに第2部のカルメンは、迫力ある音量で私たちを魅了した。観客席と舞台とを縦横無尽に演じるさまに、一瞬、あたかも海外にいるかのような気分にさせられた。

 SIT(スペシャル・インタレスト・ツアー)のパイオニアとして同社は、音楽や美術鑑賞などテーマに特化した高品質の旅を提供している。ツアープランナーが厳選した素材をもとに、ゆとりある行程を組み、添乗員の現地でのサプライズ演出にも定評がある。目の肥えた顧客が多く、その分、求められるハードルも高い。

 それゆえだろうか会場では、社員の人たちの物腰が柔らかで丁寧だったのが印象的だ。SITの源流を感じた。

 このコンサートの1週間後、観光経済新聞社主催の「旅行業が選ぶ人気温泉旅館ホテル250選・にっぽんの温泉100選認定証授与式」に出席した。

 浅草ビューホテル・飛翔の間を会場に、受賞者や関係者らが大勢集い、にぎにぎしい雰囲気に包まれた。ここ数年、仕事の都合で欠席続きだったが、多くの方と挨拶ができ、あらためて「来てよかった」と感じた。お招きありがとうございました。

 印象に残ったのが、積田朋子代表取締役社長が冒頭挨拶で語られた「ハードとソフト、そしてハート」という言葉である。

 入選上位のなかでも特に、「プラチナの宿」や「5つ星の宿」は、泊まってみると従業員や女将の”ハート”を感じさせる場面が多い。立派な構えだけでは顧客は満足しないのである。

 また、「新聞ジャーナリズム」という一語も心に響いた。新聞離れやペーパレスの時代にあっても、愚直に丁寧な紙面を届けてもらいたい。自身もまた、心に残る記事を書きたいと、切に感じて会場を後にした。

 文化庁は、「神楽」および「温泉文化」をユネスコ無形文化遺産に提案すると昨秋、発表したばかり。先に神楽、温泉文化は順調にいけば2030年の登録で、さらなる高みをめざすことになる。

 価格が高ければ上質である、というのは大きな間違いだが、インバウンド隆盛で強気の価格帯が近年、目につく。国内市場とのバランスや慢性的な人手不足を考慮した適正な価格を追究する必要がある。「物価高を上回る所得増へ」と政府は旗を振るが、たび重なる賃上げで経営がひっ迫しないとも限らない。経営者は、難しい判断に迫られている。

 中国政府は、今年の春節期間の日本への渡航自粛を、あらためて呼びかけた。為替は、日米協調介入の憶測で円高へと急振れしている。秋には、外国人向け消費税免税制度がリファンド方式へと変わり、外国人の不動産取引も規制が強化される。右肩上がりのインバウンド市場に、変化の波が押し寄せようとしている。

 愚直に丁寧に。それが一番の成功の近道なのかもしれない。

 (淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授 千葉千枝子)

 
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第39回「にっぽんの温泉100選」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2025年度「5つ星の宿」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第39回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング 」(2026年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト50を発表!

2025年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング」(2026年1月12日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒