ロイヤルホールディングス執行役員ホテル事業担当・リッチモンドホテル社長本山浩平氏
ロイヤルホールディングスは、リッチモンドホテルを中心としたホテル事業が好調な中、マイナーホテルズとの合弁会社「ロイヤルマイナーホテルズ」を設立し、日本国内でのラグジュアリーホテル展開を開始し、契約第1号として「アナンタラ軽井沢リトリート」を発表した。執行役員ホテル事業担当で、リッチモンドホテル社長の本山浩平氏(47)氏にホテル事業の歴史や新規展開について聞いた。
――ロイヤルグループのホテル事業について教えてください。
「ロイヤルのホテル事業は、外食、コントラクト、ホテル、食品という4つの事業の一角を成しています。メインはリッチモンドホテルというブランドで、現在43店舗を全国展開しています。別に京成電鉄との合弁会社もあり、京成リッチモンドホテルという名前で3店舗運営しています。これはロイヤルがマイノリティ出資、京成電鉄がマジョリティ出資の京成グループの子会社となりますが、運営は我々が担当しています」
「ホテル事業への参入は今からちょうど30年前です。1995年1月に1号店の東大阪を開業しました。当時の名前はロイネットホテルで、大和ハウス工業と一緒にホテル展開を始めました。我々も大和ハウス工業もホテル経験がなかったので、レストランチェーンの仕組みを活用し、固定概念にとらわれることなく、お客様にとって必要なものは何かという視点と効率化の視点でホテルオペレーションを構築しました」
「部屋は18平米で、当時のビジネスホテルとしては画期的でした。当時のビジネスホテルは12平米が当たり前の中、シティホテルとビジネスホテルの間を狙うコンセプトでした。ベッドサイズも140〜150センチのワイドベッドを採用しており、30年前のコンセプトが今にも通じています」
――リッチモンドホテルの業績が好調とのことですが、具体的な状況を教えてください。
「稼働率と客単価が共に上昇しています。特に客単価については、純粋に前年より上昇している状況です。一部のホテルでは顧客属性が変わり始めています。もともとビジネス利用主体だったホテルでも、観光でも利用いただけるよう改装を施すことで、一室に泊まる人数が増え、相対的に客室単価が上がるという効果も出ています」
「インバウンドについては、全体で約3割を占めています。店舗によって濃淡があり、一桁台の店舗もある一方、東京・浅草のホテルでは半分以上が外国人客です。インバウンド客はアジア圏が圧倒的に多く、予約チャネルは基本的に海外OTA(オンライン・トラベル・エージェント)からの流入がメインです」
――新たにマイナーホテルズと合弁会社を設立し、ラグジュアリーホテルの展開を開始されました。
「3つのブランドを展開します。まず『アナンタラ』は、ウェルネスに強いホテルブランドで、軽井沢に開業予定です。これは50室規模で、60平米以上のオールスイートとなります。敷地は1万2000坪で、ヴィラも含めた施設です」
「『アヴァニ』はライフスタイル型のホテルで、共用部に価値を持ち、ルーフトップバーなどを充実させ、アクティブに旅を楽しみたい方向けです。まだ市場に数が少ないため、日本では出店しやすいブランドと考えています」
「『チボリ』はポルトガル発祥の100年の歴史を持つブランドで、クラシカルなラグジュアリーホテルです。歴史的建造物の活用なども視野に入れています」
――GHA(グローバルホテルアライアンス)ディスカバリーロイヤリティプログラムについて教えてください。
「GHAには現在世界で3400万人の会員がおり、うち日本人会員は約40万人います。日本ではまだ供給数が少なく、現時点ではパティーナ大阪(カペラブランド)や東急ホテルズの数軒など、4つほどしかGHAに加盟するホテルがありません。そのため日本での認知度はまだ高くありませんが、単一ブランドにとらわれない独立系ホテルの集まりという特徴があります」
「マイナーホテルズはGHAの第2位の株主であり、GHA内でのプレゼンスが高いため、ここからの集客に期待しています」
――ロイヤルグループの既存事業とのシナジーをどのように考えていますか。
「リッチモンドクラブの会員は現在140万人ほどで、利用率は約4割と非常に高いロイヤリティを持っています。現在は外食やコントラクトの一部店舗で10%割引などのサービスを提供していますが、グループCRM『MyROYAL』の導入を進めており、共通ポイント制度の導入を計画しています」
「特に外食は非常にお客様の日常に近い店舗が多いので、そこでの接点を生かしてホテル事業につなげていく計画です。また、将来的にはリッチモンドクラブとGHAのポイント連携なども検討していきたいと思います」
――ホテル運営における特徴や強みを教えてください。
「ロイヤルマイナーホテルズの特徴は、ブランドオーナーがオペレーター会社に出資するという、あまり例のない形態です。これにより、ブランドの強いコミットメントを得られることが魅力です。オーナーの立場からすると、日本で長年事業を展開してきたロイヤルグループが入っていることで安心感があります」
「また、マイナーホテルズ自体が全物件の約3割を自社所有しており、自社ブランドだけでなくマリオットのセントレジスやフォーシーズンに運営を任せている物件もあるため、オーナーの立場に立った運営提案ができます。ブランドの規定を押し付けるのではなく、メリハリをつけた投資提案ができることが強みです」
「システム面では、マイナーホテルズのPMSはオペラを使用しており、グローバルスタンダードに対応しています。GHAにはオラクルも出資しているため、レベニューマネジメントシステムなどとの連携も容易です。グローバル展開においては重要な要素となっています」
――今後の展開について教えてください。
「残る2つのブランド(アヴァニ、チボリ)についても、早い段階で発表できるよう準備を進めています。パイプラインは積み上がってきています。2035年までの目標として、売上高210億円、出店数21棟を掲げています」
「既存のリッチモンドホテルについては、インバウンド需要の増加に伴い順調に成長していますが、建築コストの上昇により新規出店には課題を感じています。朝食などの付加価値を高め、ホテルの価値向上に努めています」
「また、グループCRM『MyROYAL』の導入を進め、外食事業とホテル事業の連携強化を図ります。ロイヤルグループのポイントプログラムとGHAの連携も検討し、顧客満足度の向上を目指していきます」

本山浩平(もとやま・こうへい)氏
ロイヤルホールディングス執行役員ホテル事業担当。1978年7月生まれ、福岡県出身。2006年にアールエヌティーホテルズ入社。リッチモンドホテルプレミア武蔵小杉支配人、リッチモンドホテル長崎思案橋支配人などを経て、2021年1月にアールエヌティーホテルズ代表取締役社長。2022年3月からロイヤルホールディングス執行役員ホテル事業担当(兼)アールエヌティーホテルズ代表取締役社長(=リッチモンドホテル社長)。2025年3月からロイヤルマイナーホテルズ代表取締役社長も兼務。
【kankokeizai.com 編集長 江口英一】




