私の視点 観光羅針盤
世界的な抹茶ブームは、もはや一過性の流行ではない。健康志向、日本文化への関心、SNSによる拡散を背景に、抹茶は日本を象徴する文化素材として定着しつつある。その一方で、急激な需要拡大は、生産・流通・文化継承に新たな課題を突きつけている。
日本国内における抹茶原料である碾茶(てんちゃ)の生産量は、年間おおよそ4千~5千トン規模とされる。そのうち抹茶として加工される量は限られ、近年では約半分が海外へ輸出されているといわれる。北米や欧州、アジアを中心に需要は拡大し、国内では茶道用途や専門店向けの供給が逼迫(ひっぱく)、価格も明確に上昇している。
抹茶生産を語る上で欠かせないのが、宇治と西尾である。宇治は、茶道文化とともに発展してきた歴史的産地で、香りやうま味、点前に耐える品質を重視した高付加価値抹茶が特徴だ。一方、西尾は被覆栽培と生産技術を高度化し、量と品質の安定供給を強みに市場を支えてきた。現在では国内抹茶原料の大きなシェアを担い、加工・輸出を含めた実需対応力に優れている。
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