福島氏
「触れる」という行為には人を落ち着かせる効果があるという。例えば、火がついたように泣き叫んでいた幼子でも、母親が「痛いの、痛いの、飛んでいけ~」と優しく体をさすれば泣き止む。また、高齢者や終末期患者に直接触れる「タッチング」も安心、信頼、情緒安定を促すケア技法として介護や看護の現場では広く取り入れられている。つまり、人は、誰かに触れられることで痛みや緊張が和らぎ、不安感が軽減されるのである。
そこで、誕生したのがお金をもらって他人を抱きしめる非性的タッチケアの専門職プロフェッショナル・カドラーである。
2010年代前半にアメリカで生まれ、2015年に業界団体が設立、同時にヨーロッパにも拡散し、欧米では安心感を提供する職業として認知されつつある。
ちなみに、カドラーとは英語のCuddle(抱きしめる、寄り添う)にerをつけたもので、Hugがごく短い時間、相互で抱き合うのに対しCuddleは長時間、一方が抱きしめることを意味する。
カドラーは事前に顧客と面談を行い、顧客が触ってはいけない身体的部位や性的発言の禁止といった「境界線」を理解しているか、カドラーに対して不遜な態度はないかなどを見極めた上で、仕事を受けるか否かを判断する。身体接触を商品とする以上、カドラーが顧客を選別し、安全に成立し得る相手だけを顧客として受け入れる点が一般のサービスとは異なる。
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